「――はあ……」

 愛美は今日も、スマホの画面を見てはため息をつく。

「愛美、おじさまからは一向に(おと)沙汰(さた)ナシ?」

「うん……。手紙来ないのはいつものことだけど、メールも来ないなんて」

 さやかに訊かれて愛美は、一段と大きなため息とともにグチった。

「……ねえ、さやかちゃん。いくら忙しくても、仕事の合間にメール一通送信するくらいはできるよね? わたし、手紙にメアドまで書いたんだよ」

「うん、そうだね。愛美からの手紙には目を通してるはずだし」

 果たしてどうだろうか? さやかは〝あしながおじさん〟が絶対に愛美からの手紙を読んでいるはずだと思っているようだけれど、愛美は彼のことを信じきれなくなっていた。

「それでもさあ、意地でも返事しないってことは、わたしのことわざと無視してるってことじゃないの? 人ってそんなに平然と相手のこと無視できるもんなのかな?」

 自分が嬉しかったことを、〝あしながおじさん〟にも一緒に喜んでもらいたいと思うのはワガママなんだろうか? 
 いくら甘えたくても、相手に知らん顔されていたらどうしようもない。

「愛美、それは考えすぎだよ。愛美のこと大事に思ってくれてるから、おじさまは助けてくれてんでしょ? 無視なんかするワケないじゃん。きっと体調崩してるとか、そんなことだと思うけどな」

「……さあ、どうだろ。わたし、もう分かんない。おじさまが何考えてるのか。わたしのことどう思ってるのか」

 吐き捨てるように、愛美は言った。一旦入ってしまったネガティブスイッチは、なかなか元に戻らない。

「もしかしたら、わたしのことウザいとか面倒くさいとか思ってるかも。私の手紙に迷惑がってるとか」

「そんなことないよ。絶対ないから!」

 さやかが諭すように、愛美を励ます。

「……ありがと、さやかちゃん。でもね――」