「ね、七海ちゃん」
シロの声に振り向くと、細道を伝ってタクシーがこっちに向かってくるのが見えた。私たちのそばに来た吉野はまだ電話を続けている。
「今日から休みだから家にいるだろう。キャッシュカードならおろせるだろうし、なんなら通帳ごと預かってくる。だからもう少しだけ返済は待っててくれよ。ああ……悪いな、助かるよ」
通話を終えた吉野がタクシーに向かう。
「あいつ……」
憎々しげな声を出した有希子さんがそれに続く。
どうしよう、とクロを見ると「ったく」と吐き捨てるように口にした。
「新人、お前は俺の続きを担当しろ。七海、行くぞ」
長い足であっという間にタクシーの助手席に乗りこもうとするクロ。これじゃあ私が乗るスペースがない。
「わ……私はどこに乗ればいいの!?」
「どこでもいいだろ。体はすり抜けるだろうから」
「でも……」
吉野の体に重なるのだけは勘弁してもらいたい。
そうこうしているうちにもタクシーは動きだしてしまいそう。
「もうひとつ空いてる場所があるだろ、ほら、そこ」
クロが指さした場所。そこは車のトランク部分だった。
シロの声に振り向くと、細道を伝ってタクシーがこっちに向かってくるのが見えた。私たちのそばに来た吉野はまだ電話を続けている。
「今日から休みだから家にいるだろう。キャッシュカードならおろせるだろうし、なんなら通帳ごと預かってくる。だからもう少しだけ返済は待っててくれよ。ああ……悪いな、助かるよ」
通話を終えた吉野がタクシーに向かう。
「あいつ……」
憎々しげな声を出した有希子さんがそれに続く。
どうしよう、とクロを見ると「ったく」と吐き捨てるように口にした。
「新人、お前は俺の続きを担当しろ。七海、行くぞ」
長い足であっという間にタクシーの助手席に乗りこもうとするクロ。これじゃあ私が乗るスペースがない。
「わ……私はどこに乗ればいいの!?」
「どこでもいいだろ。体はすり抜けるだろうから」
「でも……」
吉野の体に重なるのだけは勘弁してもらいたい。
そうこうしているうちにもタクシーは動きだしてしまいそう。
「もうひとつ空いてる場所があるだろ、ほら、そこ」
クロが指さした場所。そこは車のトランク部分だった。