「私は、部下だったし、よく仕事なのでお世話になったので言いやすいだけだと思います。いい迷惑ですし
別に……さよ……若松さんほどではありません」
私は、あんな風に気軽に話せない。
叱られてばかりだし……。
「あら沙夜さんでいいわよ?
私も菜々子ちゃんって呼んでもいいかしら」
菜々子ちゃん……!?
いや、呼び方の話しではなくて。
しかし沙夜さんが、ニコニコしながら
「あーでも久しぶりに会って話をしたけど、懐かしいというかこんなに話が合うとは改めて気づかされたわ。
しかも不知火君に結婚願望があるなんて意外だったわ。
彼女とか結婚に興味がない人だと思っていたのよね。
フフッ……だったら私にもチャンスがあるってことかしらね?」
クスクスと笑いながらそう言ってきた。
えっ……えぇっ!?
沙夜さんの言葉に驚く。それって……まさか?
ドクンッと心臓が大きく高鳴る。
「菜々子ちゃんが別に関係ないのなら私……不知火君に猛アタックしてみようかしら?」
笑顔で、さらにとんでもない事を言ってきた。
沙夜さんが……課長に猛アタック!?
えっ……まさか。えぇっ!?
驚く発言だったため頭の中がパニックになる。
何かの冗談?いやいや何で?
こんな綺麗な人が課長に対して……。
「本当……良かったわ。ずっと離婚を引きずる訳にもいかないし。
私と不知火君が上手く行くように祈っていてね?菜々子ちゃん」
私は、その言葉を聞いた時、胸が張り裂けそうになった。
何で……?こんなに胸が張り裂けそうになるの?
「おい、何を話しているんだ?
沙夜先輩。変な事をコイツに吹き込んでいないでしょうね?」
「あら、なんのこと?」
フフッ……と笑う沙夜さんだった。
私は、あまりのショックで頭が真っ白になり何も聞こえてこなかった。