未だに課長が何を考えているのか分からなかった。
するとマッサージの先生のお手本が終わり
「では、まず女性からペアを組んだ男性の腰をマッサージしてみましょう」と言って指導してくる。
つまり私が課長の腰をマッサージをすることになるのか。
一応初心者用に参考書を買って勉強してきたから大丈夫だろうと思うけど……。
そう思っていたが。
「へたくそ!」
ひぃぃっ……!?
腰をマッサージすると早々と怒られた。
課長……怒るの早すぎます。
「ちゃんと体重をかけて揉め。
手の位置が違う。お前……ちゃんと講習を聞いていたのか!?」
「す、すみません。
マッサージの参考書を読んで勉強をしたのですが……」
「アホ。ただ参考書を読んで勉強すればいいと言う問題じゃない。
何度も実践して覚えるもんだ!
少し勉強しただけで分かった気でいるとは、マッサージを舐めている証拠だ」
別にそこまで言わなくても……。
これでも課長に怒られないように頑張って勉強したつもりなのに。舐めてるとか……酷い。
やっぱり課長は、苦手だ。
すぐに怒るし、うるさいし。それに顔は、怖い。
こんな人に好意があると想われているとか考えられない。
「代われ。俺がやり方を教えてやる」
ムスッと頬を膨らませながらも代わると私は、寝台にうつ伏せになった。
課長は、タオルを腰に掛けるとマッサージをしてくれた。う、上手い!?
体重のかけ方から力の入れ方まで丁度良くて気持ちがいい。
まるでプロのマッサージ師の人にやってもらっている気分だ。うっ……効く……。
どうしてこんなに上手いのだろうか?もしかして……。
「課長。とてもお上手ですね。
もしかしてマッサージ師の資格とかお持ちなんですか?」
資格を取るのが趣味な課長のことだ。
持っている可能性が高い。
「いや。持っているのは、柔道整復師の資格の方だ」