えぇっ?まさか覚えてくれていたなんて!?
私は、それを聞いて驚いてしまった。
 気づかれてないと思っていたから余計にだ。

「は、はい。よく分かりましたね?」

 何故?こんな平凡な顔……他の人と区別がつかないだろうに。

「あぁ、お連れ様が大変印象が残る方でしたので
 お名前も珍しかったので……記憶に残っていたんです」

 イケメン店員さんは、そう言いながら苦笑いしていた。
な、なるほど……確かに印象に残るわね。
 課長は、一見何処かのヤクザの親分かと思うぐらい怖い顔だし。
 ”不知火“って珍しい苗字だから印象に残る。
何だ……ちょっとガッカリした。

「先日は、色々ありがとうございました」

 深々と頭を下げてお礼を伝えた。
そこの場所だけ空気が悪かっただろうに。
 私が課長を怒らしたばかりだったから……。

「いえいえ、こちらこそ。
またお越し下さりありがとうございます」

 イケメン店員さんも同じように頭を下げてくれる。
まぁ、接客態度もいいわ。
 ますますウチのお店に欲しくなってくるわね。

「では、失礼します」

 私は、そう言い席に戻ろうとするとイケメン店員さんが慌てて止めてきた。

「あ、お客様。お待ちください。
やはりお伝えしたいことが……」

えっ……?
立ち止まりイケメン店員さんの方を振り返った。
 するとイケメン店員さんは、申し訳なさそうな表情をしてきた。どうしたのかしら?
 私は、不思議そうに首を傾げると……。

「このような事を言うのは……正直差し支えがましいと思い伝えにくかったのですが。
 あの方は、やめといた方がいいと思います」

 衝撃的な事を言ってきた。えっ!?
それってどういう意味?ま、まさか……焼きもち!?
 イケメン店員さんの言葉に動揺してそう思ってしまった。