なんと食事の誘いだった。
私は、慌ててその誘いに乗ってしまった。

『そうですか……良かった。
 もし断れたらどうしようかと思っていました。じゃあ、待ち合わせは……』

 声からも分かるように嬉しそうだった。
私には、どっちの話が正しいのか分からない。
 初めて理想的な男性を見つけたのに……この恋は、間違いだったのだろうか?

 私は、悩みながら約束をして電話を切った。
それからお店に出勤すると開店準備をした。
 その間にも私は、ずっと悩んでいた……。

 ここのイケメン達は、皆よく働いてくれていい子ばかりだ。悪い事を考えている子は、1人も居ない。
 イケメンだからと言って悪い奴だと決めつけるやり方は、好きじゃない。
 なら、何を基準で考えたらいいの?

「菜々子さん。どうしたんですか?
何かボーとして悩みでもあるんですか?」

 するとAランク店員の桜葉君が心配そうに尋ねてきてくれた。こうやって気遣ってくれる子も居る。
 それが計算的かといえば分からないが、純粋な子達だと信じている。

「う……ん。ちょっとね。
桜葉君は、女性を騙したいと思った事はある?」

「えっ?何ですか……急に?」

「ちょっと気になって……」

「うーん。僕は、ありませんね。
彼女が欲しいと思いますが騙したいとは、思いません」

 キッパリと桜葉君は、否定してくれた。
そうだよね……普通は。
 Aランクのイケメンである桜葉君にそう言ってもらえてホッとした。

「そうだよねぇ~じゃあ、あまりにも条件がいいイケメンは、怪しいと思う?」

「それって僕達Aランクの店員達の事ですか?」