「何だ?俺の食べさせてやると言ってるのにそれは、食えないと言うのか?」

 ギロッと睨んでくる不知火課長だった
ビクッと肩が震える。
 そういう訳ではないけど……恥ずかしいし。
しかも相手は、元上司だ。

「そ、そういう訳では……」

「だったら文句を言わずにさっさと食え。
片付けられんだろーが!」

 そう言いやや強引に食べ物を口に押し込められる。
課長……強引です。
 そして次から次へと食べさせてくれた。
半分以上無理やりだけど……。
 複雑な気分になっていると課長が食べさせながら私のお弁当を見てきた。

「お前のお弁当は、彩りとバランスがイマイチだな。
ちゃんと栄養バランスを考えてるのか?」

 ケチをつけてきたのでムッとした。
そりゃあ課長よりは、バランスが悪いかも知れないけど味は、完璧よ!
 そうしたら課長は、何を思ったか私のお弁当をつまみ食いしてきた。

 あっ!?私のお弁当が……。
課長は、味わうように食べてしまった。

「うむ。旨い。この前のハンバーグスグラタンでもそうだったが宮下は、料理のセンスがあるな。
手際もいいし旨い」

 そう言って褒めてくれた。えっ?
また急に褒めてくるので心臓が大きく高鳴り出す。
 もう、急に褒めないでよ……驚くじゃない。
ドキドキと高鳴ってうるさい。

「ありがとうございます……」

「あ、お前の弁当なのに勝手に食べてすまなかったな。
ついどんな味か気になって…」

課長が勝手に食べたことを謝罪してきた。

「あ、いえ。大丈夫です。
 あの、良かったらもう一口どうですか?
このカラアゲとか自信作なんです」