「大体もしそうだったとしても付き合うとか有りえないわよ。
私が好きなタイプは、イケメンなんだから」
これだけは、課長じゃなくても譲れないわね
私の好きなタイプは、あくまでもイケメン。
イケメン推しで生きてるのよ……。
すると真美子は、呆れたようにため息を吐いてきた。
「美希の発言も驚くけど…あんた。まだイケメンにこだわってるの?
そろそろ現実を見た方がいいわよ。
もういい年なんだし」
まるでお母さんみたいな事を言われる。
見てますよ……ちゃんと。
無理だと分かったから思考を変えただけよ。
「結婚も交際もイケメンじゃないと好きになれないもん。それで今まで上手くいかなかったし。
だから現実を見てイケメン喫茶を始めたんじゃない。
例え一生結婚出来なくてもお店には、イケメンが私を頼りに慕ってくれてるわ。
これぞ癒し。あのイケメン達を見ながら死ねるなら独身でも本望だわ」
うっとりとしながら言った。
そもそも結婚したから幸せとは限らないじゃない。
「うわぁ~相変わらず重症ね!?もう病気の域だわ」
「菜々子らしいと言えば菜々子らしいけど
でもさ~私と真美子は、結婚しちゃったからいいけど……年とったら寂しくなるよ?
菜々子は、子供とか欲しくないの?」
それは……。美希の言葉に動揺する。
年をとってもあの喫茶店を経営していれば多分、自分だけなら大丈夫だろう。
ただ、子供となると考えてしまう。子供は、欲しい。
出来れば、イケメンの男の子を……。
そしてイケメンのアイドルとして育て上げたい。
あ、俳優でもいいのだけど。
イケメンが息子だなんて自慢よね。
フフッ…と想像しながら笑ってしまう。
「あぁ、完全に妄想世界に入ってるわね。
まったく。料理も上手いし、家庭的な所があるのに
イケメンに、こだわらなかったらすぐに相手が見つかりそうなのに勿体ないわね」
「まったく…困ったものよねぇ……」
真美子と美希は、私を見ながらハァッ……とため息を吐いていた。
だって仕方がないじゃない。イケメン大好きなんだから。
イケメンじゃない人を好きになれって方が無理なのよ!
ムスッと頬を含ませていると美希が思い出したかのように……。
「そういえば、こんなやり取りを会社でもしたよね。
昼休みとかでさ~」と話を変えてきた。