ハァッ……結局何もないまま終わってしまったわ。
しかも最後まで不知火課長は、不機嫌なままだったし。
 あの人が居なかったら、もう少し進展があったのかもしれないが、まぁ仕方がないわよね。
 褒められただけでも良しとするか……。
そう思い直して帰ろうとする。

「おい、宮下」

 すると不知火課長が突然声をかけてきた。
ビクッと肩が震え上がった。
 えっ……?まさか、また文句を言いたいの?
せっかく持ち直したのに……と思いながらも渋々振り返った。

「な、何でしようか……?」

「今日も食事に付き合え」

はい……?だから何で私と……!?
 またもや食事のお誘いだった。
課長は、腕を組みながらまだ不機嫌そうな態度だった。

「あの、今日は……」

「今日は……?」

「いえ、何でもありません。お供します」

断る勇気を言わせないほどの高圧的な態度だった。
 結局、嫌々ながらも課長と食事をすることになってしまった。
 今日は、近くの焼き鳥屋に連れて行かれる。
課長は、席に座ると店員さんにビールとネギマやモモなどを頼んだ。

 店内も焼き鳥のいい匂いがしていた。
あぁ課長さえ居なかったらビールで一気に飲んで、気楽に食べられたのになぁ……。

 私も同じのを頼むことにした。
注文が終わるとチラッと不知火課長を見た。
 すると未だに不機嫌そうだった。
なんか……勝手に怒っているし。

 何で?そんなに怒らすよう事をしただろうか?
いやいや、していないはずだ。
 そりゃあ、杉本先生に甘えようとしていたけどさ
それで、そこまで怒ることだろうか?
 意味が分からなかったが、念のため聞くことに。
後でめんどうなことにならないためにも……。

「あの……課長?」

「何だ?」