この文句でもあるのかと思うようなムスッとした表情。
産まれたばかりだと思えないぐらいの貫禄のある顔立ち。まるで……課長のジュニア版だ。
「ねぇ、凄いイケメンでしょ?」
「そ、そうですね……アハハッ……」
ニコニコしならそう言ってくるお義母さんに、もう笑うしかなかった。
あぁ、自分の子だから可愛いけど、私の息子の芸能界入りが……。
儚い夢で終わったと思ったら悲しくなった。
すると裕太君が横から口を出してくる。
「ところでさ。双子の名前決めたの?
いつまでも赤ちゃんや双子では可哀想だよ」と……。
確かにそうだ。悩んで未だに名前が決まっていない。
出生届も出したいし早く決めないといけないわね。
すると課長が徐に咳払いをする。
「その件なんだが……もうすでに決めてある」
「えっ?課長。一体どんな名前にしたんですか!?」
知らなかったわ。いつ決めたのだろうか?
「うむ。ギリギリまでどちらにするか悩んだのだが、顔を見たらこれだと思ってな。
まず息子の方は、新太だ。
新しい門出とたくましい男に育つようにと願いが込められている」
「そして娘は、真優だ。
こう書くのだが……真心を持った優しい女の子に育つようにと願いが込められている。どうだろうか?」
そう言い習字で名前を書いた紙を見せてきた。
いい……。課長にしては、なんて可愛らしく、いい名前だろうか。
古くもないし……かと言って変な名前でもない。
「課長……ではなかった、誠さん。
とても素敵な名前だと思います!」
「まぁ、素敵な名前。
良かったわねぇ~新太君、真優ちゃん」
お義母さん達もとても喜んでくれた。
私も2人を見ながら微笑んだ。
はじめまして私がママよ!新太、真優。
そう思いながら幸せを噛み締めるのだった……。