「誠叔父さんの完璧主義は、徹底してますからね。
俺も勉強を教えて貰う時は、厳しかったから、よく分かります」
「裕太君にも!?」
驚いたけど、課長なら身内だからって遠慮しないか……。
きっとかなり怖かっただろうな。
可哀想な裕太君と思った。よしよししてあげたい。
私なら逃げ出していただろう。
「よく我慢できたわね……偉いわ」
「そんなことないですよ。
確かに厳しかったけど、教え方も上手かったし。
いい点数取れば、ご褒美に好きな場所に連れて行ってくれました」
裕太君は、ニコニコしながらそう言ってきた。
あの……課長が?
「随分と裕太君にとっていい叔父さんだったのね?」
「はい。今でも尊敬しています。
でも、それぐらい菜々子さんやお腹のお子さんを大切にしているってことじゃないですか?
いい旦那さんとお父さんだと思いますよ。俺は……」
「まぁ……確かに。そうかもね……」
そう考えてると納得も出来る。
そうなのよね。度が過ぎるだけで、ちゃんと私の事や子供の事を考えてくれてる。
理想的な旦那様で父親はあるのよね……。
「私ももう少し頑張ってみようかな」
課長がそこまで私とお腹の子のために色々と調べてやってくれるのだ。
私も……出来るだけ応えてあげたい。
そう考え直してきた。
「はい。あ、でも俺……奈々子さんもいいお母さんになると思いますよ」
裕太君は、ニコッと笑うとそう言ってきた。
私が…いいお母さん?
初めての出産だし、子育て経験がないから不安で仕方がないのに。
「私になれるかしら……?」