泣くのを必死に堪えながら気持ちを課長に伝えた。
イケメンでなくてもいい。
課長がそばに居てくれる方が大切だから。
それが私を示す愛の表現だと思う。
すると課長は、力強く私を抱き締めてくれた。
「違う。お前が趣味をやめる必要なんてない」
そう言って……えっ?
「でも、私やめないとまた同じ事をするかも知れませんよ?
私……馬鹿だから、ちゃんとけじめをつけないと
きっとまた課長を傷つける」
課長を傷つけたい訳ではない。
だから何処かで区切りをつけないといけない。
こんな私でも受け入れて好きになってくれた……課長を大切にしたい。それが私の答えなんだ。
「俺は、傷つかない。
お前が、ちゃんと俺の事を振り向いてくれたって分かったから」
課長は、私の目を真っ直ぐ見ながら力強く言ってくれた。
「課長……」
「俺は、確かにイケメンにしか興味を示さないお前に対して悔しい思いもした。
だから必死に振り向かせようとしていた……。
だが俺が好きになった女は、イケメン好きで、それに対して以上に熱くなるお前だ!
お前の趣味を全て含めて好きになったんだ!
だから無理にやめようとするな。
好きなものは、好きでいろ。その全てを含めて俺が受け止めてやる。それが男ってもんだ」
課長は、そう言い優しく私に微笑みかけてくれた。
その言葉に涙が溢れて止まらなかった。
課長は、どれだけ器の大きい人なのだろう。
私は、心の底からこの人を好きになれて良かったと思った。
こんな自分を受け止めてくれる人。
私の中で世界一のイケメンだ。
そう思えたら、あんなにモヤモヤした気持ちがスッと消えた。
「課長……私。やっぱりあのお話断ろうと思います」
「どうしてだ?別に俺は、構わないぞ」
「ううん。私がそうしたいから……」
課長をギュッと抱き締め返した。
気持ちがハッキリするとスッキリしてきた。
外見ばかりこだわっていて気づきもしなかったけど、自分の中で1番の男がイケメンなんだ。
私だけのイケメン。それが分かったから……もういい。