「やはり何か吹き込まれていたな?
それはない。沙夜先輩のタイプではないからな……俺は。
あの人の元旦那……橘先輩は、男だが小柄の可愛らしい人だった。お前みたいにオロオロしていたが……。
どーせ、邪魔をしてやろうとしたのだろう。
あの人は、かなりの肉食だからな。
あとあの人は、バイだ。両方イケる」
な、何ですと……!?バイだなんて……。
漫画や小説のような展開に驚いてしまう。
それに旦那さんも沙夜さんの選んだ人だから、もっと釣り合うぐらいの背が高くてイケメンだと思っていた。
沙夜さんって……一体何者?
衝撃の事実に私は、唖然とする。
「正直……お前と一緒の時にバッタリ会ったのは、しまったと思った。確実に狙われると思ったし。
案の定……すぐに狙われていたが。
沙夜先輩は、狙った獲物は、逃がさないタイプだ。
だが、刺激されてか宮下は……俺を少しでも意識してくれるようになったからな。
それが嬉しくて……やり過ぎてしまった。
さすがに度が過ぎた。申し訳なかった……」
そう言い私に頭を下げてきた。課長……。
かなり内容に驚かされたが課長は、何も悪くない。
悪いのは……私だ。
イケメンばかり気を取られて、ちゃんと自分の気持ちに向き合わなかったからこうなったのだ!
「顔を上げてください。私がちゃんと課長や自分自身に向き合わなかったのがいけなかったので。
だから課長は、何も悪くありません」
もう……自分の気持ちに素直になろう。
溢れ出した気持ちは、もう止まらない。
「あの、私も課長の事が好きです!」
昔プロポーズも告白もイケメンではないと嫌だと思っていた。だが今は、心の底から嬉しいと思った。
すると課長は、また私を抱き締めてきた。
何だか恥ずかしくて照れくさい。
「良かった。もし断られたらどうしようかと思っていた」
もう断ったりしませんよ!
私も課長の事が好きだと認めたのですから
ギュッと自分も抱き締め返した。
私達は、変な意地を張りすれ違ってばかりだったけど
やっと両思いになったのだ。
外だという事を忘れて……しばらく抱き締め合った。
その後。私達は、課長の自宅に戻るが、そこには沙夜さんの姿はなかった。
テーブルに置き手紙が置いてあるだけだった。
「沙夜さんに謝りたかったのに帰られてしまいましたね?」
変に疑って食事を中断させちゃったから、ちゃんと謝りたかったのに。
課長は、その置き手紙を見る。しかしすぐにグシャッと握り潰してしまった。
えっ?課長、手紙が……!?