「……そう思ったらお前……イケメンばかりしか見てなかっただろ?
あのレストランだって一応下調べもして、気合い入れて結婚のプロポーズをしようと思ったんだ。
なのにお前ときたらイケメン、イケメンって……思わず怒りを通り越して殺意が湧いたぞ」
ゲッ!!殺意って……。
恐ろしいことを言う課長にドン引きする。
でも、だからあんなにキレて1人で帰らされたのかと……改めて思い知らされた。
「す、すみません……」
「まぁ、俺の態度も悪かったんだが……。
さすがに焦り過ぎた。我ながら驚いた。
どうもお前が絡むと自分でも驚くほど余裕が持てないらしい。後で部屋に戻ると激しく後悔をしたものだ。
それからは、なるべくいつもの通りにしようとした。
なのにお前ときたら何だ……あの安西とかいう怪しい男は!?
お前のその危機感の無さに俺は、どれだけ振り回されていると思っているんだ!?前にも……」
か、課長……愛の告白が段々とただの説教になってますよ!?
いや、そうさせているのは、私のせいなんですが。
止まらない課長の説教にどうしようかと思った。
すると課長は、ハッとしたのか自ら止めた。
「あ、イカン。また説教になってしまった……。
どうも宮下を見ていると一言文句を言わないと気が済まなくなっているな。すまない」
「いいえ……」
そんなのが当たり前みたいにしないで下さい。
だから余計に課長は、私の事を好きだと思えなかったのよ。
やっぱり。課長は……分かりにくい。
しかし、そうなると沙夜さんとくっつかなくなる。
そう思うと嬉しさが込み上げてきた。
すると課長は、ハァッとため息を吐いてきた。
「取り合えず誤解のないように伝えておく。
俺が好きなのは、沙夜先輩ではなく、宮下……お前だ!
それと沙夜先輩もお前を狙っている」
「えっ……?私!?」
課長の言葉に唖然とする。何で私なの?
「あの人は……異常に可愛いものに目がない。
お前みたいな挙動不審でオロオロした態度の奴を見ると初々しいとかで可愛く見えて仕方がないらしい」
「はぁっ?で、でも私達……女同士ですよ!?
しかも課長を狙おうかと言ってましたし、アタックするとも。
沙夜さんは、課長が好きなのではないですか?」