ちゃんと説明をしてほしい。じゃないと頭がついていけない。
そうしたら課長は、抱き締めていた手を緩めて私と向き合うように真っ直ぐ見てきた。
「宮下。俺は……お前が好きなんだ」
えっ……?
課長の突然の言葉に心臓が大きく高鳴った。
嘘っ!?課長が私の事が好きだなんて……。
「い、いつからなんですか……?」
美希が言っていたことが当たっていたってことだろうか?
えっ?でもいつから課長は、私のことを?
「……ずっと前からだ。
俺が課長としてお前の居るの課に配属をされて、しばらくしてから」
えぇっ!?そ、それって随分と前からじゃない!
いや、そんな風には見えなかったし。
「そんな風には……見えませんでしたけど?」
「それは、お前は、イケメンにしか見向きもしなかったからだろう。
それに俺も好きだからと言って甘やかす気も贔屓する気はなかったからな。
やるからには、手を抜くことは許さん」
どキッパリと言い放つ課長だった。
課長……だから余計分かりにくいんですってば!!
相変わらず融通が利かない男だ。
「それに……俺は“鬼課長”と呼ばれていたらしいからな。
あまり接触をするとセクハラだと言われたり、周りに変な目を向けられる。
お前にも誤解とかされたくなかった……」
ギクッと肩を震わした。
課長……自分が”鬼課長“だと言われていたの知っていたの?
しかも、私のために誤解されたくないとか……。
ドキドキと心臓が高鳴ってうるさい。
「気持ちを伝えようとした事もあった……。
しかし出来なかった。伝える前にフラれたからな」
フラれた………って私がフッたの!?
えぇっ……いつ?
課長が私の事を好きなことも知らなかったのに、フッた記憶もないのだけど……?
昔の記憶を必死に辿るけど、やっぱり記憶にはない。
すると課長は、ため息を吐いてきた。