「いえ、別に。いつもの私ですけど?」
「嘘つけ。どう見ても普通じゃないぞ?
言いたいことがあるならハッキリ言え」
ムカッとする。なら、言ってもいいんですか?
腹が立っているって?
どーせ、それに対して説教をしてくるくせに。
「……別にありません」
すると課長は、ハァッ……とため息を吐いてきた。
「お前も……案外強情だな。人の事は言えないが……」
「誰が……強情なんですか?」
はい?何か今、聞き捨てならない事を言われた気がする。
それは、課長。あなただけですよね?
まるで私に問題があるみたいに言われて余計に腹が立つ。
「宮下、お前だ。何でそうやって……変な強情を張る?
そんなに守りたいプライドなのか?くだらない」
その言葉にピクッと反応する。くだらない……?
変なブライドとか……何が言いたいのか分からないけど
私にだって譲れないプライドはある。
ガタッと思いっきり席を立ち上がった。
「私にだって譲れないプライドぐらいあります!
だから、絶対に認めたくないんです」
自分でも何を言っているのか分からなかった。
でも……悔しくて、悲しくて涙が溢れてくる。
気持ちが溢れてくる。
涙を止めたくても……止まらなかった。
「宮下……?」
「……失礼しました」
私は、急いでコートとカバンを持つと、リビングから飛び出した。
課長の自宅から出ると走って逃げた。
……気づきたくなかった。