『昨夜十七時頃、株式会社山岡商事のフロント前で、代表取締役社長の岡崎典孝氏が刃物で襲われた事件の続報です。岡崎氏を刺した、無職で四十代の男が昨夜未明に逮捕されました。逮捕されたのは、岡崎氏の息子・岡崎和典容疑者で、岡崎氏との間には日常的に金銭をめぐったトラブルがあったことが警察の調べにより明らかになっています。息子の和典容疑者は、全面的に容疑を認めており────……』
「お待たせしました。今先生と確認がとれて、少しの時間なら面会の許可が下りるとのことです」
病院のロビーにあるテレビで流れているニュースをぼんやり聞いていると、看護師さんが俺に近付いてきた。
「検査の結果、岡崎さんの命に別状はありませんが、安静が必要です。あまり興奮してしまうようなお話はされないようにお願いします」
「わかりました。何分くらい話ができそうですか?」
「そうですね。十五分くらいで済ませていただけたら」
「それだけあれば充分です」
看護師さんに笑いかけると、俺は社長が入院している病室へと向かった。