今頃後悔をしているのだろうか。だとしたら、何に対して?
俺の父に?それとも、過ちを犯した自分自身に?
無言でうつむく社長の心のうちはわからない。
だが、そろそろ面会を許された十五分が過ぎようとしていた。
「社長、私はこれで失礼します」
ベッドから離れた俺は、ひとりの老いた男に一礼をした。この男に、俺が形式上の敬意を払うのはこれが最後だ。
「すまない……」
俺が病室を去る間際、閉じていくドアの向こうから低くつぶやく声が聞こえたような気がした。
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