会見が終わって一週間経った頃、父が自宅に戻ってきた。
やつれた顔をした父は、テレビの会見で見た人そのままだった。
自室にこもって、食事のときすら出て来なくなった父からは、かつての明朗さはすっかり失われてしまっていた。
しばらくは自宅に押しかけてきていたマスコミもそのうち数が減り、俺と妹は学校に通えるようになった。
けれど、クラスメートや教師たちが俺を見る目が変わったのは明らかだった。仲良くしていた友人たちですら、目を合わせてこようとしない。
ニュースで知った父の事件、テレビで見た謝罪会見、マスコミを避けるために自宅にこもっていた数週間。それらは全て、現実感がなく、どこか別の世界の出来事のように思えていたけれど……
ひさしぶりに学校に行って周囲の目に晒されたとき、ようやく父の犯した罪の意味を知った。
それでも俺は高校生だったから、心ない視線や陰口を適当に交わすことができた。
だけど当時小学生だった妹は、状況をきちんと把握できないままに、辛い思いをしていたのだろう。持ち物が無くなったり壊されたりして、泣いて帰ってくることが多くなった。