今年で私はもう高校生か、まさに光陰矢の如しだ。
 二階から一階に降りて、庭とつながる引き戸お開けた。すると強い風か吹き込み、桜の花びらが踊るみたいに横に通っていた。
 庭の桜が満開に咲いていていつも緑の景色は美しいピンク色に染めた。それは我が「夜桜一家」の家紋でもある。けど今となったら私たち一家は私の謎の能力により、ほぼ全部の勢力を失っていた。

 唯一残ったのは、空っぽで歴史があるこの二階建ての家と大金だけだ。それのおかげで私は普通に生活できているけどそれだけにしか過ぎない。

「いくら金があっても、お金は楽しい日々と引き換えることができない。」
「私もいつか年を取って、桜のように散りゆくだろうか。」

桜の花びらは風と共に舞い上がってそして地面へろ優しく運んであげた、なんだか羨ましく思えた。
 前までは自殺しようと色々やった。けどいくら試しても、成功しなかった。いくら試しても、痛んでも、死ぬことができない。でも不思議なことに私の体は着実に育ってる。
 
「そんなことを考えるのやめよっ。」
「そろそろ体を動かさないと練習に間に合わない。」

 私は小さい頃、両親に勧められて、柔道、弓道、剣道、茶道、書道、「道」が付くものはほぼ全てやらされた。夜桜家としての嗜みらしい。だから、人前での食事の作法とかはそれなりにできる。今でも自分で練習したりする。

 色んなことを教えてくれた清水先生も私が中学一年の時に亡くなった。
 その先生は私の恩人でもある。彼女はずっと私の能力に怯えず一緒にいてくれた。

 清水先生はとても背が高くて綺麗な人。茶道お稽古で着る和服、弓道の練習に着る袴、どれもとても似合っていた。そして彼女の腰まで長く伸びた髪は、漆黒で艶やかだった。

 私が両親を亡くした後、唯一私の面倒を見てくださった人だった。清水先生と一緒に過ごした時間は本当に楽しかった。
あの頃の私にとって、先生と共に生きていられた時間が唯一の小さいな救いだった。

 あの日、私は大きいな間違いを犯した。

 私は清水先生に対して心を許してしまったのだ。それは決してしてはならない事だったのに。

 翌日、下校途中の小学生が横断歩道を渡っていた時、坂の上から猛スピードで下りてきたトラックに今にもはねられるという場面。その場に偶然居合わせた清水先生は、真っ先に道路に飛び出し、その子を救った。

 後に警察から、トラック運転手がブレーキが全く利かなくなっていたと話していたと聞いた。

清水先生はいつも正義感が強かったから、最後まで人のために尽くした人生だった。

 あの時の私にとってショックはあまりにも大きかった。その数日は一切食事が取れなかった。

「まぁ、今となったらもう過ぎたことだ。」

 過去に止まっでいても何も出来ない。
 けど私の世界は先生がこの世を去った瞬間から、無色になった。

 今になっても、先生から教わったことを繰り返して練習してる。

 いつか私も先生のように強くなれるだろうか。