「別に話したくないんじゃないよ。でも長い話になっちゃうから歩きながら話した方がいいと思う。」
「うん、そうだな。それじゃ行こう!」

 彼は元気そうな声でそう言って、紺色のボディバックを後ろに背負った。私たちは靴を履き、彼はドアを閉めた。私は歩きながら彼に清水先生のことを話した。彼女は私の師であり、同時に私の恩人でもあると伝えた。

 彼は、清水先生の料理に惹かれて、そこでアルバイトをしていると言った。でもよく清水先生の料理とあんなに近い味が再現できると感心した。私もよく清水先生に教えてもらったのにな、変なの。
 そして私は清水先生が何の事故で亡くなったのかを伝えた。同時に私が清水先生を殺したということを。それでも彼はいつも通りに話を続けてくれた。むしろ私が話したことに対して、奏くんは嬉しいな表情だった。

 彼を信じて話しみて良かったと思った。そして彼は今度私の家で料理を教えてくれると約束した。

 話に夢中になり過ぎて、あっという間にスーパーに着いた。いつもと同じスーパーだからどこで何を買ったらいいのか分かっているし、そんなに時間がかからないだろう。
 私は卵、野菜、お肉等々を買うと彼に伝えて、彼と二手に分かれた。二十分ほど回ったら彼が食材を持って来てくれた。そして私達はレジに向かった。私が金を払った後二袋に分けたものを持つ前に、彼が持ってくれた。流石に全部彼に持たせ訳には行かないと思って、私は重い一袋を取ろうとしたら彼に取られた。そして軽い方を私に譲った。

 彼に持たせるなんで情けないと思いつつも何故か嬉しいく思えた。

「奏くん、この二袋を持ってご飯を食べに行くのはちょっとおかしいじゃないかな?せっかくだし家で食べたらどう?お昼ご飯のお礼に。」
「俺はどちらでもいいけど面倒じゃないか?俺の分まで作るなんで。」
「大丈夫だよ!一人増えたところでなんも問題ないよ。」
「そうか、じゃそうしよう。」

 元々ご飯を食べに行くだったけどこの二袋を持つのは不便過ぎるから家に変えてご飯を作ろうと思って彼を誘った。彼に助けられてばかりにはいかないから今回は私がご飯を作ってやるって思った。

 でも彼の料理とは全く比べものにならないから少し懸念する、けど言った以上自分にできることを尽くすしかない。それに彼ならきっと他人を笑わないと信じている。