今日はとっても寒くて外は真っ白。そんな景色を見て、私はふっと思い出した。
あの日母に言われた事。
私が物心がついたころには、もうおばあちゃんもおじいちゃんもこの世を去った。
それも私が生まれてすぐの事だった。
不思議な事に、まるで死が伝染していったかのように私の周りの人たちが死んでいった。やがて母も病気で病院に入院することになった。
検査してみたら、膵臓癌だったらしい。あの頃私はたった五歳で膵臓癌が何なんのかわからなかった。
私はただ母が良くなると信じてた。けど母の病状は悪くなる一方だった。母は段々と衰弱していった。私の心は母の様子を見る度に心が刺さられたかのようにすごく傷んだ。
気づけば母の腕は骨しかないように見え、私は「前まで楽しく一緒にたくさんの話をしていたのにな」と小さくため息をついた。
あの日はとても寒かった。外は雪が積もり始めていた。母は息苦しそうにこう言った。
「お前なんか...生まれ...こなければ...よ...かった」
すると、母は私の方を向いてそして私を睨んだ。それはとても恐ろしく、初めて見る表情だった。その表情は今にも忘れるなどできない。それはあの時の私にとって十分に母を避ける理由となった。
雪は潔白で優しいを込めて、母は私を雪恵の名前を付けてくれた。だけどあの時は雪なんで呪いだと思えた。きっと雪のせいで母は病を負い、辛い思いをしたんだろう。
数日後病院から知らせが来て、母は夜中に亡くなったらしい。何故か、私の心にはぽっかりと穴が開いたかのように痛かった。
私は一晩中ずっと泣いてた。たとえ涙が枯れても、私の傷は治ることはなかった。
父は母の死を受け入れることができなかった。やがて悲しみと悔しさに呑み込まれて自殺した。
誰も私を慰めてくれる人などいない。それもきっと私は“特別”なんだろうな。
そして私の周りの人みんなは死んでいったのだ。人だけではなく動物さえ影響する。まるで私と関わると死から逃げなれないかのように。
小学校に入る事はずっと楽しみにしてたのに、両親が居ない今は何も楽しくない。私の噂も直ぐに小学校で広まった。
学校に行ったとしてもただ避けられる日々でしかない。
いつしか私は心を開くことがなくなり、ずっと幸せが訪ねるはずだと信じているだけだった。けどその幸せはあの日の雪の共に溶けて、戻ることが無いまま。
そしていつの間にか、周りの人は私をこう呼び始めた。
-死神とね。