「どうしたらいいだろう。」
今日決めないといけないなんて、無理にも程がある。でも快諾した私が馬鹿だ。私の頭は爆発しそうだ。そもそも彼何時に来るって言ってたっけ?
朝からずっと考えているけど稽古の中でも常にこのことが頭から離れない。このことで頭がいっぱいで弓を引いても全然当たらない。
「学校か。」
このまま一生一人で過ごすと決めていた私の心は、彼の存在によって大きく揺さぶられている。正直に言うと学校に行きたいと思ったこともなかった訳ではないけど、もうとっくに諦めてた。それなのに、彼が言い出したことでまたこの気持ちが溢れてきている。
私が寂しくたって行かないのは、他人を傷つけたくないからだ。今のままでは学校に行ったって一人になるに決まってる。
私は弓矢を壁に立て掛け、服を着替えようとしたその時、家のチャイムが鳴った。
「え?!まさか音瀬さんなの?もう来たの?!」
休みの日だから、もう少し遅い時間に来ると思った。
服を着替えたいけど、彼を待たせる訳にも行かないと思って、私は引き戸を開けた。
すると彼は私を見て眼を逸らした。少し驚いたようだ。
「ごめん、ちょっと待っててくれないかな?今稽古やってたら急に来たから。服に着替えてくる。」
「稽古?」
彼は私の方に向いてそして首を傾げた。袴を着てると変な感じがするから一刻も早く着替えに行きたいと思った。
「そうだよ。とにかく先上がって。そこに座っていて。」
私はリビングのほうを指して、そう言った。彼が入ってきたすぐ私は慌てて二階に上がって着替えに行った。
それにしても何を着たらいいのだろう。普段通りに着ればいいのか?そもそも普段は適当に着てるんだけど、他の人の前ではちゃんと着ないとな。
私は色んな服を取り、鏡の前で見て見たけどどれも好みではない。どうしたらいいのか分からなくて時間がかかりそうだけど、彼を待たされるわけにもいかない。
「あ、もういい!」
私は少しイラつきながら、適当に服を取った。着てみたら割と似合っているから、少しほっとした。私は黒いTシャツとベージュのショートパンツを着た。そしてゆっくりと階段を降りて、リビングに戻った。私はソファーの隣まで歩いた。
「え?!どうしたの?!」
その時私の目に映ったのは彼がソファの上に倒れていた。私は駆け足でソファーの前に居て、膝を地面に当たった。ただ必死に彼を起こそうとした。そして私は思わず自分能力のことを思い出し、声を上げて叫んだ。