「え...？」

　私はどこから、何を言ったらいいのか分からない。彼も驚いた顔をしている。私は口を閉じたまま、彼と直接目を合わせない。

「あ...夜桜さん？前回は本当にごめん。あんな態度とるつもりはなかった。」
「ううん、私も少し言いすぎてしまいました。」

　何とか謝れてよかったと思うけど、何故か空気が張詰めてゆく感じがする。彼も私と同じく何か言いたそうだけど言えないのかもしれない。

「夜桜さん、もし良ければ俺あと三十分で上がりだから、ここで待ててくれないかな？話したいことがあるんだ。」
「うん、暇ですし大丈夫ですよ。それよりアイスティー頼んでもいいですか？」
「あ、そうだったな。かしこまりました。」

　私は注文が出来て良かったと思いつつも、アイスも食べたいけどなんか頼んだら子供みたいで恥ずかしいからやめた。

「そうだお詫びとして俺奢るから、ほかの頼みたいものがあれば何でもどうぞ。ちなみに当店のおすすめはバニラアイスです。ひとついかかでしょうか？」
「いいんですか？！じゃ、それも一つください。」

　私はアイスが食べられて嬉しいけど、はしゃいじゃって恥ずかしくて、なんとなく耳が赤くなった気がする。でも空気が緩んでよかった。
　私が頭を下げたとき、少し彼の顔が見えた。私の目に映ったのは彼の笑顔だ。

　間もなくアイスとアイスティーが運ばれてきた。

「おいしい。この味懐かしい。」

　そのアイスまさに清水先生が作ってくれた味だったのだ。感動で涙が溢れてきた。

　いつの間にかもう全部食べてしまって、ちょっとだけ残念な気持ちだ。けど、きっといつかまた来ることができる。

　食べ終わってすぐ彼が来て、私を他の店に誘った。私は興味津々で行ってみることにした。歩くこと十分で着いた。それもとても雰囲気が良さそうな店だ。見た感じ家と比べられるくらい古く感じる、それもよく丁寧と掃除をして　みたいで綺麗だ。

　中に入ってみると、美しいくて歴史を感じた色んな模様な陶器の皿があった。それは光にさらされてキラキラで眩しく映った。

「無理矢理付き合わせちゃってごめん。」
「別にいいけど話って何ですか？」

　彼は珍しく俯いたまま、私を直接見ないで話している。

「言いたかったのは俺も多分あなたと同じで変な能力を持っているってこと。あの時はあなたに伝えたかったけど、変に怒ってごめん。」

　彼の顔は少し赤くなった。多分緊張しているのだろう。でも素直に話してくれて私は何故か嬉しく思った。
　そして彼はやっと頭を上げてくれた。

「そうだったんですね。実は母の日記を見て音瀬さんの名前があったからびっくりしたんです。それで音瀬さんはどんな能力を持っているんですか？」
「その前にもう敬語で話すのをやめてももらってもいいかな。俺そういう堅苦しいのは苦手だから。」

　私は生まれて初めて、敬語で話さなくてもいいと言われた。家に居ても常に両親にそう要求されていた。清水先生と話す時も常に敬語を使っていたから、敬語を使わないと少し変な感じがする。

「そうですか...。うん、やってみる。」

　私が思ていたよりずっと簡単でびっくりした。しかもなんか少し彼との距離が縮んだみたいだ。それにしても彼は随分と楽しんでるようだ。

「それで、俺もうひとつ話したいことがあるんだ。」

　私は頭を縦に振って特に何も話さなかったけど、彼が何を話したいのか分からないから少し緊張する。

「学校に来る気は無いかな？」

　彼が言い出したことで私は凄く驚いて、何を話したらいいのか分からない。彼はきっと私の顔を見たら分かるだろう。