フェーンとの契約が終わり、町長にはこれからはフェーンの眷属がこの町を守ってくれると説明をした。
その事を伝えたら、分身体であるフェーンに向って涙を流しながら感謝を伝えていた。
やはり一番の心配はそこだったみたいだ。
『ぼくの子供達でも、十分にこの地域の魔物を抑える事が出来るよ。またあの魔人とかいうのが来たら、ちょっと分からないけどね。でも、目的があの槍だったならもうここには無いし、来ることはないよね?だから、大丈夫!』
とフェーンが言っていたが、ヴァレスも同意見だったみたいだ。
「そうですね。フェーン様が仰る通り、魔人がこの町を狙ったのは神器があったからだと思われます。逆に言えば、神器さえ集めれば奴らの願いが叶ってしまう所だったと言う事なんでしょうね」
というような事を言っていたが、とりあえずこのウインドの町に再び平和が訪れたという事だけは分かる。
うん、良かった良かった。
レイラも魔法を習得出来たし、図らずもクレスやマリアも新しい魔法を習得したし大収穫だと言える。
死に掛けた俺の事は置いとくとして、この町に来たのは正解だったな。
その日は、色々な事があったので俺らも一旦宿屋に戻りゆっくり休ませてもらった。
火事の後始末や魔物が荒した土地の補修は町の人々や魔導士がやってくれるという事で、お言葉に甘えさせてもらった。
次の日に町を見渡したらすっかり元に戻っていたのにはびっくりした。
魔法って凄いな。
まぁ、流石に燃えつきた木は無くなったけど。
そこから数日間、町に滞在して戦闘の疲れを癒やさせてもらった。
たった1日の出来事ではあるが、かなり体に負担が掛かったからな。
元々急ぐ旅じゃないし、今回の事でギルドから結構な額の報奨金が出たので懐は温まった。
なので、ゆっくり観光を楽しむ事にしたのだ。
クレス、マリア、レイラの3人娘は仲良く買い物したり、美味しい食事をしたりして楽しんでいた。
魔力が回復したアーネストにも会いに行ったらしく、魔法の講義を受けたらしい。
レイラ以外の二人がキラキラした目をしながら嬉しいそうに言っていた。
数日立った頃、俺らが泊まる宿屋にヴァレスがやって来た。
「我々は本国に帰ろうと思います」
「そうか、もう発つんだな」
「はい、今回の魔人はマークしていなかった新しい魔人でした。何か良くない事が起こっているかも知れません。一度本国に戻り、情報を集めようと思います。」
「そうか、あんなのがワラワラと現れたら困るものなぁ。大変だとは思うが頑張ってくれよ」
それ専門の仕事らしいし、大した能力も無い俺には励ましの言葉くらいしか送れない。
そんな俺に苦笑いしつつ、言葉をつなぐヴァレス。
「はい、頑張りますよ。それではウードさん、クレス様のことを宜しく頼みますね」
「…もう隠す気は無いんだな。ああ、クレスは俺が何があっても守るから心配しなくていいぞ?ヘルメスもいるし、あの子らも中々に強い。フェーンも仲間になった。そして何より、…俺の大事な娘だからな」
「本当に、貴方で良かったと思っています。では、またいずれ」
「そのうち、あんた達の国にも行くことになるだろうけど、まぁ大分先になる。それまで、達者でな」
ヴァレスとマーレは馬車に乗り込み去っていった。
いつも神出鬼没な二人であるが、しばらく会うことはないだろう。
後でクレス達に彼等が旅立った事を伝えたら、お別れの挨拶したかったのにと怒られた。
「いや、みんな出掛けてただろ!」とは、言えずひたすら平謝りしておいた。
その姿を見ていたヘルメスの不憫そうな顔が心に刺さったよ…。
フェーンは我関せずとエースとくっついて寝ていた。
あれから1週間ほど滞在して、充分に満喫した俺らは旅立つ事にした。
「「「本当にお世話になりました!」」」
「何を言いますか、こちらこそ救っていただいてありがとうございました。こちらこそ本当にありがとうございました。この御恩は一生忘れません」
路銀もかなり溜まったし、目的も果たしたので俺達は次の町に移動する事にした。
その事を町長と冒険者ギルドに伝えたら、港までの馬車を用意してくれた。
あの報奨金のおかげで、しばらくは仕事をしないでも食べて行けそう。
よし、これなら、北を目指しつつもゆっくりと旅が出来そうだ。
「あ、そうそうウードさん」
「はい、なんでしょうか?」
旅立つ前に冒険者ギルドの受付嬢に呼び止められる。
なんだろうと思って振り返ると、一通の書簡を渡された。
「そこには、今回の事が記載されています。もし、中央都市に行くなら必ずその書簡をギルド本部に持って行ってください。これはクエストでもありますので、持っていくだけで報奨金が貰えますから絶対に行ってくださいね!」
「お、おう。ありがとう・・ございます」
かなりの勢いで渡されたので、断る事も出来ず受け取ってしまった。
まあ、持っていくだけだし問題は無いのだが。
胸の空いた大胆な服装のギルド受付嬢が、ズイッと近付くもんだからちょっとドキドキしたよ。
それに、近くで見るとこの子もなかなか…。
「おとうさ~ん?」
おっと、やばい!
クレスが笑顔で怒っているぞ。
最近、女性に鼻を伸ばすと叱れてしまうので気を付けねば。
いやでも、一応今の俺は独身なんだけどな。
クレスも難しい年ごろになったなぁ。
「さて、出発しようか。次の目的地は中央都市だ!」
「「はーい!」」
元気よく返事をするクレス達。
エースと新しく仲間になったフェーンは荷台に仲良く丸まって乗っかっている。
もふもふが2匹もいると、それだけでほっこりする。
そして、最高の枕にもなる。
「ありがとう!また来いよー!」
町の人々が感謝を口々に見送ってくれる。
短い間だったが、とてもいい町だった。
フルーツだけじゃ無く、食事も美味しかった。
旅が終わったら、またみんなでここに来よう。
こうして大勢の町の人々に手を振られ見送られながら、俺達は馬車に乗り込むのだった。
馬車に揺られて、程なくして港に着いた。
御者をしてくれた町の人に感謝を伝えて、降りるとそこには大きな船が着いていた。
「旅券は既に支払い済みですぜ旦那。1日程の船旅ですがお気をつけて!」
なんと、船の料金まで払ってくれていたらしい。
驚きつつも、再び感謝を伝えると『町長にそう、伝えておきますぜ!』と言って町に帰っていった。
そうか、あの町長も粋な事をしてくれるな。
約一ヶ月程の滞在だったが、色々あった。
レイラの修行の筈が、3人とも成長させてもらった。
そして俺も…。
フェーンという新しい相棒を得て更に新しいチカラを手に入れ事が出来た。
きっとこれからも色んな事が起こるだろうが、きっとこの子たちとなら大丈夫さ。
そう考えながら、船に吹く風を感じるのだった。
その事を伝えたら、分身体であるフェーンに向って涙を流しながら感謝を伝えていた。
やはり一番の心配はそこだったみたいだ。
『ぼくの子供達でも、十分にこの地域の魔物を抑える事が出来るよ。またあの魔人とかいうのが来たら、ちょっと分からないけどね。でも、目的があの槍だったならもうここには無いし、来ることはないよね?だから、大丈夫!』
とフェーンが言っていたが、ヴァレスも同意見だったみたいだ。
「そうですね。フェーン様が仰る通り、魔人がこの町を狙ったのは神器があったからだと思われます。逆に言えば、神器さえ集めれば奴らの願いが叶ってしまう所だったと言う事なんでしょうね」
というような事を言っていたが、とりあえずこのウインドの町に再び平和が訪れたという事だけは分かる。
うん、良かった良かった。
レイラも魔法を習得出来たし、図らずもクレスやマリアも新しい魔法を習得したし大収穫だと言える。
死に掛けた俺の事は置いとくとして、この町に来たのは正解だったな。
その日は、色々な事があったので俺らも一旦宿屋に戻りゆっくり休ませてもらった。
火事の後始末や魔物が荒した土地の補修は町の人々や魔導士がやってくれるという事で、お言葉に甘えさせてもらった。
次の日に町を見渡したらすっかり元に戻っていたのにはびっくりした。
魔法って凄いな。
まぁ、流石に燃えつきた木は無くなったけど。
そこから数日間、町に滞在して戦闘の疲れを癒やさせてもらった。
たった1日の出来事ではあるが、かなり体に負担が掛かったからな。
元々急ぐ旅じゃないし、今回の事でギルドから結構な額の報奨金が出たので懐は温まった。
なので、ゆっくり観光を楽しむ事にしたのだ。
クレス、マリア、レイラの3人娘は仲良く買い物したり、美味しい食事をしたりして楽しんでいた。
魔力が回復したアーネストにも会いに行ったらしく、魔法の講義を受けたらしい。
レイラ以外の二人がキラキラした目をしながら嬉しいそうに言っていた。
数日立った頃、俺らが泊まる宿屋にヴァレスがやって来た。
「我々は本国に帰ろうと思います」
「そうか、もう発つんだな」
「はい、今回の魔人はマークしていなかった新しい魔人でした。何か良くない事が起こっているかも知れません。一度本国に戻り、情報を集めようと思います。」
「そうか、あんなのがワラワラと現れたら困るものなぁ。大変だとは思うが頑張ってくれよ」
それ専門の仕事らしいし、大した能力も無い俺には励ましの言葉くらいしか送れない。
そんな俺に苦笑いしつつ、言葉をつなぐヴァレス。
「はい、頑張りますよ。それではウードさん、クレス様のことを宜しく頼みますね」
「…もう隠す気は無いんだな。ああ、クレスは俺が何があっても守るから心配しなくていいぞ?ヘルメスもいるし、あの子らも中々に強い。フェーンも仲間になった。そして何より、…俺の大事な娘だからな」
「本当に、貴方で良かったと思っています。では、またいずれ」
「そのうち、あんた達の国にも行くことになるだろうけど、まぁ大分先になる。それまで、達者でな」
ヴァレスとマーレは馬車に乗り込み去っていった。
いつも神出鬼没な二人であるが、しばらく会うことはないだろう。
後でクレス達に彼等が旅立った事を伝えたら、お別れの挨拶したかったのにと怒られた。
「いや、みんな出掛けてただろ!」とは、言えずひたすら平謝りしておいた。
その姿を見ていたヘルメスの不憫そうな顔が心に刺さったよ…。
フェーンは我関せずとエースとくっついて寝ていた。
あれから1週間ほど滞在して、充分に満喫した俺らは旅立つ事にした。
「「「本当にお世話になりました!」」」
「何を言いますか、こちらこそ救っていただいてありがとうございました。こちらこそ本当にありがとうございました。この御恩は一生忘れません」
路銀もかなり溜まったし、目的も果たしたので俺達は次の町に移動する事にした。
その事を町長と冒険者ギルドに伝えたら、港までの馬車を用意してくれた。
あの報奨金のおかげで、しばらくは仕事をしないでも食べて行けそう。
よし、これなら、北を目指しつつもゆっくりと旅が出来そうだ。
「あ、そうそうウードさん」
「はい、なんでしょうか?」
旅立つ前に冒険者ギルドの受付嬢に呼び止められる。
なんだろうと思って振り返ると、一通の書簡を渡された。
「そこには、今回の事が記載されています。もし、中央都市に行くなら必ずその書簡をギルド本部に持って行ってください。これはクエストでもありますので、持っていくだけで報奨金が貰えますから絶対に行ってくださいね!」
「お、おう。ありがとう・・ございます」
かなりの勢いで渡されたので、断る事も出来ず受け取ってしまった。
まあ、持っていくだけだし問題は無いのだが。
胸の空いた大胆な服装のギルド受付嬢が、ズイッと近付くもんだからちょっとドキドキしたよ。
それに、近くで見るとこの子もなかなか…。
「おとうさ~ん?」
おっと、やばい!
クレスが笑顔で怒っているぞ。
最近、女性に鼻を伸ばすと叱れてしまうので気を付けねば。
いやでも、一応今の俺は独身なんだけどな。
クレスも難しい年ごろになったなぁ。
「さて、出発しようか。次の目的地は中央都市だ!」
「「はーい!」」
元気よく返事をするクレス達。
エースと新しく仲間になったフェーンは荷台に仲良く丸まって乗っかっている。
もふもふが2匹もいると、それだけでほっこりする。
そして、最高の枕にもなる。
「ありがとう!また来いよー!」
町の人々が感謝を口々に見送ってくれる。
短い間だったが、とてもいい町だった。
フルーツだけじゃ無く、食事も美味しかった。
旅が終わったら、またみんなでここに来よう。
こうして大勢の町の人々に手を振られ見送られながら、俺達は馬車に乗り込むのだった。
馬車に揺られて、程なくして港に着いた。
御者をしてくれた町の人に感謝を伝えて、降りるとそこには大きな船が着いていた。
「旅券は既に支払い済みですぜ旦那。1日程の船旅ですがお気をつけて!」
なんと、船の料金まで払ってくれていたらしい。
驚きつつも、再び感謝を伝えると『町長にそう、伝えておきますぜ!』と言って町に帰っていった。
そうか、あの町長も粋な事をしてくれるな。
約一ヶ月程の滞在だったが、色々あった。
レイラの修行の筈が、3人とも成長させてもらった。
そして俺も…。
フェーンという新しい相棒を得て更に新しいチカラを手に入れ事が出来た。
きっとこれからも色んな事が起こるだろうが、きっとこの子たちとなら大丈夫さ。
そう考えながら、船に吹く風を感じるのだった。