他の冒険者達の活躍もあり、町に出現した魔物達は大方片付いた。
取り逃がした魔物も、戻ってきて被害が出ないように冒険者達が追いかけてくれている。
山火事もアーネストのおかげで収まった。
あとは元凶である『山の神』であるフェーンという大きな狼に会いに行くだけだな。
あってどうなるかは、ヘルメスに賭けるしかない。
もしどうにもならなければ逃げて帰ってくる事になるだろうけどな。
一息つくために、ギルドに戻るとそこには意外な人が居た。
この町の町長だ。
アーネストと何かを話している。
どうやら山の神に何かあったのかと聞いているようだ。
──そんな時だった。
ドオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオン!!
突然外でとてつもない轟音が響き渡ってきた。
まるで何か巨大なものが落ちてきたような、そんな音だ。
「な、何事だ!?」
「おい!アレを見ろ!」
「なんだあの巨大な黒い狼は!!」
「魔物だ!魔物が降って来たぞ!!」
あたりは再び混乱に陥る。
「お父さん!」
「「ウードさん!!」」
クレスとレイラ、マリアが俺を呼ぶ。
あの大きな狼の魔物はもしや…。
『なんという姿に…』
ヘルメスもその姿を見て絶句する。
およそ5mくらいの大きさの巨大な狼は、黒い靄を纏い口からは黒い炎が漏れ出ている。
さらに目は真っ赤に光り知性がそこには宿っていない。
「ったく、なんつーでかさだよ。よし、皆いくぞ!」
外に飛び出すと、弓を構えた。
町の人が襲われたらひとたまりもない。
わざと人が居ない方に立ち、矢を射って注意をこちらに引き付ける。
グルウウウウオオッ!
こちらの挑発に乗り、怒りをこちら向けてくる黒い巨狼。
大きく口を開けて、そこから球体にした黒い炎を吐き出した。
「うおっ、あっちちっ。あっぶねぇ!」
『ウードよ、ぼうっとしていると黒焦げだぞ?あれは、ただの火ではない。どうやら瘴気を含んだ炎のようだぞ。あれで焼かれれば我の『治癒』でもすぐに治せんぞ!』
「マジかよ。こんなおっさんに、あれを躱せとか無茶言うなよな。っっと!」
俺は文句をいいつつも何とか黒い炎を躱した。
しかしそのまま地面を焦がし、その余熱だけでも火傷しそうだぞ。
「足止めします!凍てつく氷の飛礫、『氷の矢』!」
マリアが氷魔法で黒い巨狼の足元を凍らせた。
グオオオオオッ!
と一瞬怯むが、次の瞬間。
ジュウウッ!
なんと、自らの炎で溶かしてしまった。
しかし、その一瞬立ち止まったのを二人が見逃さなかった。
「煌めけ銀のチカラ!『銀の刃』!」
クレスの剣が銀色に光り、それを黒い巨狼に斬り付けた。
黒い巨狼を纏う瘴気を切り払い、更にその体に傷を付けた。
おお、あれもマーレさんに教えて貰った技なのか?
たった一撃で、巨体に大きな傷を付けた。
グウオオオッ!と堪らず呻く黒い巨狼。
しかし、それでは終わらない。
「いっけーっ!弾けろっ『爆炎高速剣《ばくえんこうそくけん》』!」
クレスと反対側から飛び掛かり、掛け声と共にレイラが超高速の剣技と共に爆炎を炸裂させる。
ドゴゴゴゴゴゴウッ!と轟音を鳴らし、その威力に負けて黒い巨狼が後退る。
「これなら、このまま押し勝てるか?」
『いや、まだだ。あの程度でやられるほど軟なヤツではないぞ…』
優勢な様子を見て、思わず楽観するもヘルメスに否定されてしまった。
この言葉通り、今度は黒い巨狼が仕掛けてくる。
グルルゥウオオオオーーーーンッ!!
と黒い巨狼が、あたりがビリビリと振動するほどの咆哮を上げた。
その振動で一瞬身動き出来なくなる。
「うっ、なんだ、これ」
「うああっ!う、うごけません!」
俺とマリアがそれだけで膝を付きそうになる。
遠くにいる筈の町の人も、これだけで何人か倒れてしまったようだ。
「なんつー鳴き声だしてるんだ!クレス、レイラ大丈夫か!?」
「ぐ…、なん、とかっ、平気だよ!」
「あた、も、これくらいならああっ!」
二人は気合で耐えきったようだ。
この二人は、日に日に頑丈になってきているな。
魔力が成長しているからだろうか?
俺らは皆生まれつき、大なり小なり魔力を持っているが、魔法や能力《スキル》を使っていると魔力を上げる事が出来る。
俺の場合は魔法を使う事が出来なかったから、育てる事も出来ず魔力が小さいままだったので肉体を鍛えてきた。
しかし、クレス達のように魔力を育てる事が出来る人は、魔力を育ててその魔力量に応じて肉体を強化する事が出来るのだ。
もちろん、それにも得手不得手があるのか人によって効果はマチマチみたいだけどね。
そのおかげで、見た目よりも力が強かったりするわけだ。
なのでこの町の魔術師は、少なくとも町の人々よりも強いという事になる。
ちなみにマリアの場合は、元々がそれほど丈夫じゃないので魔力が上がっても肉体的な変化は少ないようだ。
話は戻すが、そんな色んな意味で成長期の二人は日に日に強くなっている。
だから、この程度では一瞬しか足止め出来ないんだ。
「これくらい平気なんだからっ!『電撃』!」
「吼えたくらいで、倒せるとか思わないでよね!『高速剣』!!」
耐えきったクレスが、すかさず魔法を繰り出す。
それに合わせてレイラも剣技で援護した。
流石息がぴったりだな!
さらに傷を負わされた黒い巨狼はグウウウッ!!と呻くが、次の瞬間口元が嗤うかのように歪む。
すると、何もない地面に黒い影が広がっていった。
「嘘だろ…」
「え、何あれ…?」
その黒い影から、エースよりも一回り大きな黒狼が無数に現れるのだった。
取り逃がした魔物も、戻ってきて被害が出ないように冒険者達が追いかけてくれている。
山火事もアーネストのおかげで収まった。
あとは元凶である『山の神』であるフェーンという大きな狼に会いに行くだけだな。
あってどうなるかは、ヘルメスに賭けるしかない。
もしどうにもならなければ逃げて帰ってくる事になるだろうけどな。
一息つくために、ギルドに戻るとそこには意外な人が居た。
この町の町長だ。
アーネストと何かを話している。
どうやら山の神に何かあったのかと聞いているようだ。
──そんな時だった。
ドオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオン!!
突然外でとてつもない轟音が響き渡ってきた。
まるで何か巨大なものが落ちてきたような、そんな音だ。
「な、何事だ!?」
「おい!アレを見ろ!」
「なんだあの巨大な黒い狼は!!」
「魔物だ!魔物が降って来たぞ!!」
あたりは再び混乱に陥る。
「お父さん!」
「「ウードさん!!」」
クレスとレイラ、マリアが俺を呼ぶ。
あの大きな狼の魔物はもしや…。
『なんという姿に…』
ヘルメスもその姿を見て絶句する。
およそ5mくらいの大きさの巨大な狼は、黒い靄を纏い口からは黒い炎が漏れ出ている。
さらに目は真っ赤に光り知性がそこには宿っていない。
「ったく、なんつーでかさだよ。よし、皆いくぞ!」
外に飛び出すと、弓を構えた。
町の人が襲われたらひとたまりもない。
わざと人が居ない方に立ち、矢を射って注意をこちらに引き付ける。
グルウウウウオオッ!
こちらの挑発に乗り、怒りをこちら向けてくる黒い巨狼。
大きく口を開けて、そこから球体にした黒い炎を吐き出した。
「うおっ、あっちちっ。あっぶねぇ!」
『ウードよ、ぼうっとしていると黒焦げだぞ?あれは、ただの火ではない。どうやら瘴気を含んだ炎のようだぞ。あれで焼かれれば我の『治癒』でもすぐに治せんぞ!』
「マジかよ。こんなおっさんに、あれを躱せとか無茶言うなよな。っっと!」
俺は文句をいいつつも何とか黒い炎を躱した。
しかしそのまま地面を焦がし、その余熱だけでも火傷しそうだぞ。
「足止めします!凍てつく氷の飛礫、『氷の矢』!」
マリアが氷魔法で黒い巨狼の足元を凍らせた。
グオオオオオッ!
と一瞬怯むが、次の瞬間。
ジュウウッ!
なんと、自らの炎で溶かしてしまった。
しかし、その一瞬立ち止まったのを二人が見逃さなかった。
「煌めけ銀のチカラ!『銀の刃』!」
クレスの剣が銀色に光り、それを黒い巨狼に斬り付けた。
黒い巨狼を纏う瘴気を切り払い、更にその体に傷を付けた。
おお、あれもマーレさんに教えて貰った技なのか?
たった一撃で、巨体に大きな傷を付けた。
グウオオオッ!と堪らず呻く黒い巨狼。
しかし、それでは終わらない。
「いっけーっ!弾けろっ『爆炎高速剣《ばくえんこうそくけん》』!」
クレスと反対側から飛び掛かり、掛け声と共にレイラが超高速の剣技と共に爆炎を炸裂させる。
ドゴゴゴゴゴゴウッ!と轟音を鳴らし、その威力に負けて黒い巨狼が後退る。
「これなら、このまま押し勝てるか?」
『いや、まだだ。あの程度でやられるほど軟なヤツではないぞ…』
優勢な様子を見て、思わず楽観するもヘルメスに否定されてしまった。
この言葉通り、今度は黒い巨狼が仕掛けてくる。
グルルゥウオオオオーーーーンッ!!
と黒い巨狼が、あたりがビリビリと振動するほどの咆哮を上げた。
その振動で一瞬身動き出来なくなる。
「うっ、なんだ、これ」
「うああっ!う、うごけません!」
俺とマリアがそれだけで膝を付きそうになる。
遠くにいる筈の町の人も、これだけで何人か倒れてしまったようだ。
「なんつー鳴き声だしてるんだ!クレス、レイラ大丈夫か!?」
「ぐ…、なん、とかっ、平気だよ!」
「あた、も、これくらいならああっ!」
二人は気合で耐えきったようだ。
この二人は、日に日に頑丈になってきているな。
魔力が成長しているからだろうか?
俺らは皆生まれつき、大なり小なり魔力を持っているが、魔法や能力《スキル》を使っていると魔力を上げる事が出来る。
俺の場合は魔法を使う事が出来なかったから、育てる事も出来ず魔力が小さいままだったので肉体を鍛えてきた。
しかし、クレス達のように魔力を育てる事が出来る人は、魔力を育ててその魔力量に応じて肉体を強化する事が出来るのだ。
もちろん、それにも得手不得手があるのか人によって効果はマチマチみたいだけどね。
そのおかげで、見た目よりも力が強かったりするわけだ。
なのでこの町の魔術師は、少なくとも町の人々よりも強いという事になる。
ちなみにマリアの場合は、元々がそれほど丈夫じゃないので魔力が上がっても肉体的な変化は少ないようだ。
話は戻すが、そんな色んな意味で成長期の二人は日に日に強くなっている。
だから、この程度では一瞬しか足止め出来ないんだ。
「これくらい平気なんだからっ!『電撃』!」
「吼えたくらいで、倒せるとか思わないでよね!『高速剣』!!」
耐えきったクレスが、すかさず魔法を繰り出す。
それに合わせてレイラも剣技で援護した。
流石息がぴったりだな!
さらに傷を負わされた黒い巨狼はグウウウッ!!と呻くが、次の瞬間口元が嗤うかのように歪む。
すると、何もない地面に黒い影が広がっていった。
「嘘だろ…」
「え、何あれ…?」
その黒い影から、エースよりも一回り大きな黒狼が無数に現れるのだった。