クエストを受けて早速農園にやって来た。
「あんたらが、今日手伝ってくれる冒険者かい?じゃあ、早速手伝ってくれ。こっちだよ」
農家の主人は、慣れているのかすぐに仕事の説明に入ってくれた。
サイハテでも畑仕事はしていたが、果樹園の作業は初めてだ。
大きな籠を渡されて、それにどんどん入れていってほしいと言われる。
ウインドスターは特に高価な物だが、外皮が意外と硬いらしくそこまで慎重に扱わないでも大丈夫だという事だった。
ただ、形が悪い物は値段がつきにくいため、それは別の箱に入れていくという事だった。
2時間ほど時間が経った頃には、3回くらい籠が満杯になりお昼休憩になった。
「レイラはいい人見つかったかな?」
一息ついて、朝に町に買っておいたパンを食べながら呟くように言うクレス。
俺も気になっていたので、それに返すように会話を繋ぐ。
「ここには沢山の魔導士がいるらしいから、一人くらいは見つかるんじゃないか?」
「でもさっき農園の人に話を聞いたら、どの魔術師の方も研究だったり農家さんと専属契約して害虫駆除とかの薬品作ったりしているから忙しいみたいですよ」
さすが商人の娘さんなだけあり、人と話す事が得意みたいだ。
俺が知らない間に、色んなことを農家の人から聞いていた。
この町の魔術師は、魔術師ギルドの本部があるほど魔術による研究が盛んなのだとか。
俺にはどんな研究をしているか見当もつかないけど、ここの研究によって新しい魔術が発見される事もあるという。
そして、研究から離れた魔術師も各農園の農家と契約をして、作物を育てるのに役に立つ薬品を作ったり、害獣や害虫から作物を守る薬品を作る事で生計を立てているので基本的に暇な魔術師はいないらしい。
実力の足りない若い魔術師も、熟練の魔術師の下働きをしつつその腕を磨いている。
「そっかー、でも一人くらいはいるかもしないし、きっといい人が見つかるよきっと!」
クレスはそんな情報を聞いても落胆せず、きっとレイラなら見つかると信じているようだ。
常に前向きに考えるクレスらしい考えだと思い、一人微笑みを浮かべる俺だったが、そこで事件が起きた。
ドゴーーーーン!!!!
バサバサバサッ!!!
突然、空が爆発した。
しかもその後、大量の鳥がバタバタと落ちてきたのだ。
「な、なんだ!?」
「わっ、凄い音した。ええっ!?お父さん、空から鳥が落ちてきたよ!!」
「きゃああっ!何、何!?」
3人とも突然の出来事に混乱をしていると、今度は農家の人々から歓声が上がった!
「おー!アーネスト様が派手にやっとるぞっ!!こりゃあ、ありがてぇ」
「いつ見ても流石だわぁっ!!」
喜びながら落ちてきた鳥をかき集める農家の人々。
誰がやった事なのかを分かっているかのような口ぶりだ。
「あの~、一体何が起きたんですか?」
とりあえず、近くにいる農家の人に聞いてみる事にした。
「ああ、あんたら今日は初めてだったな!今のはアーネスト様が俺らにお恵みをくださったんだ。この土地には守り神様がいらっしゃるからな、魔獣はおろか普通の獣も滅多に近づいてこないんだ。だから、時々高ーい所を飛んでいる鳥をこうやって魔法で撃ち落としてくれるんでさあ」
「そうなんですね。しかし、なんでわざわざそんな事を?」
「前に聞いたら、腕が訛るから単なる肩慣らしだとか仰ってたけど、わざわざ鳥がいる所を狙って俺らの所に落としてくれるんだ。単なる照れ隠しだと皆言っているよ」
なるほどなぁ。
しかし、随分と変わった人もいるもんだ。
本当の理由は知る由もないけど、それでもみんなが喜んでいるんだから水を差してはいけないよな。
でも、俺にはそれよりも気になる事があった。
みんなが、『アーネスト様、ありがとうございまーす!!』と手を振って丘の上にいる人物に感謝の言葉を送っていたその隣に、赤い鎧を着た女の子がいたからだ。
「なぁ、あのアーネストって人の隣にいるの・・・」
「やっぱりそう思った?!あれって、レイラかなぁ」
「私には良く見えませんでしたけど…。お二人とも、目がよろしいのですね。しかし、もしそうだとしたら、大変な人に教えを請う事になりそうですわ」
「でも、あんな凄い魔法を使えるなら、とっても凄い人に教えて貰えるのかもね!」
「おーい、ちょっとあんたらもこの鳥たちを捌くのを手伝ってくれ~。冒険者なら解体はお手ものだろう?」
そう言われて、果物の収穫だけの筈が解体の手伝いまでする事になるのだった。
呼ばれて、大量の鳥を運ぶ俺達。
エースも口に数羽咥えて運び、しっかりと働いてくれている。
うん、相変わらず良い子だな。
よしよしと撫でてやると尻尾をブンブン、可愛い奴め。
そんな中、ヘルメスはひとりでプカプカと浮きながらあらぬ方向を向いて何やら呟いている。
まあ、元からこういう力作業は向いていないからいいんだけどね。
『そうか。お主はまだここの土地を守っておるのだな…。時が来たら会おうぞ、我が友よ』
まるで懐かしいような雰囲気を出して、(蛇だから表情は良く分からないが)近くの山の方を見ているのだった。
あの山に何か居るんだろうか?
あとで訊くことにして、解体する場所へ向かった。
「しかし、あの高級フルーツを栽培して売っているんだから肉なんていくらでも買えるんでは?」
「おう、ウードさんって言ったかい?ここらじゃ、獣は捕れないと言っただろう?だからな、ここウインドに運ばれてくる肉はどれも加工品なんだよ。だからな、こんな新鮮な肉なんて滅多に食えねえんだよ」
「なるほど、そう言う事なんですね」
そんな話をしながら血抜きのため首を落としてをしてから、鳥の羽根を毟り一匹づつ木と木の間に張ったロープに吊るしていく。
俺とクレスは猟もしていたから手慣れたもので、『流石冒険者だなっ、俺らよりも手慣れているなぁっ!』と感心された。
一方のマリアはこういう作業は相変わらず苦手で、血を見て顔を青くしている。
「こういうのは、学校でもしていましたが、やっぱり苦手ですわ…」
「はっはっは。こっちの嬢ちゃんはさっぱりだな~!しかし、人間得手不得手があるんだ、気にする事ねーよ!」
依頼主に応援されて、『でも、これも仕事なんで頑張ります!』と慣れない手つきながらも頑張っていた。
元々童顔な事もあり、その頑張る姿がグッと来るのかなぜかそのあとちやほやされていた。
クレスの方は、『嬢ちゃん、可愛い顔して躊躇なく出来るんだなぁ。すげーや』と農家の人々に感心されつつ、逆にクレスからコツを教えている状態だ。
元々クレスに教えたのは俺なのだが、なんでも天才的に上達するのが早いクレスだけに、今では俺よりも綺麗に解体出来ている。
うーむ、我が娘ながら凄い成長ぶりである。
え、全然、悔しくなんか、無いんだからな!
これは、悔し涙なんかじゃないんだぜっ!
と誰にでもなく強がっていると、いつの間にか近くに来ていたヘルメスに一言言われる。
『お主は、誰に強がっているのだ…。良い歳したおっさんが見苦しいぞ』
(いや、数千年生きているヘルメスに言われたくはないんだが…)
『今、何か失礼な事を考えなかったか?』
(いえっ、滅相もございません)
こうして、ウインド初日の仕事を和気あいあいとした雰囲気でこなしていく俺達であった。
「あんたらが、今日手伝ってくれる冒険者かい?じゃあ、早速手伝ってくれ。こっちだよ」
農家の主人は、慣れているのかすぐに仕事の説明に入ってくれた。
サイハテでも畑仕事はしていたが、果樹園の作業は初めてだ。
大きな籠を渡されて、それにどんどん入れていってほしいと言われる。
ウインドスターは特に高価な物だが、外皮が意外と硬いらしくそこまで慎重に扱わないでも大丈夫だという事だった。
ただ、形が悪い物は値段がつきにくいため、それは別の箱に入れていくという事だった。
2時間ほど時間が経った頃には、3回くらい籠が満杯になりお昼休憩になった。
「レイラはいい人見つかったかな?」
一息ついて、朝に町に買っておいたパンを食べながら呟くように言うクレス。
俺も気になっていたので、それに返すように会話を繋ぐ。
「ここには沢山の魔導士がいるらしいから、一人くらいは見つかるんじゃないか?」
「でもさっき農園の人に話を聞いたら、どの魔術師の方も研究だったり農家さんと専属契約して害虫駆除とかの薬品作ったりしているから忙しいみたいですよ」
さすが商人の娘さんなだけあり、人と話す事が得意みたいだ。
俺が知らない間に、色んなことを農家の人から聞いていた。
この町の魔術師は、魔術師ギルドの本部があるほど魔術による研究が盛んなのだとか。
俺にはどんな研究をしているか見当もつかないけど、ここの研究によって新しい魔術が発見される事もあるという。
そして、研究から離れた魔術師も各農園の農家と契約をして、作物を育てるのに役に立つ薬品を作ったり、害獣や害虫から作物を守る薬品を作る事で生計を立てているので基本的に暇な魔術師はいないらしい。
実力の足りない若い魔術師も、熟練の魔術師の下働きをしつつその腕を磨いている。
「そっかー、でも一人くらいはいるかもしないし、きっといい人が見つかるよきっと!」
クレスはそんな情報を聞いても落胆せず、きっとレイラなら見つかると信じているようだ。
常に前向きに考えるクレスらしい考えだと思い、一人微笑みを浮かべる俺だったが、そこで事件が起きた。
ドゴーーーーン!!!!
バサバサバサッ!!!
突然、空が爆発した。
しかもその後、大量の鳥がバタバタと落ちてきたのだ。
「な、なんだ!?」
「わっ、凄い音した。ええっ!?お父さん、空から鳥が落ちてきたよ!!」
「きゃああっ!何、何!?」
3人とも突然の出来事に混乱をしていると、今度は農家の人々から歓声が上がった!
「おー!アーネスト様が派手にやっとるぞっ!!こりゃあ、ありがてぇ」
「いつ見ても流石だわぁっ!!」
喜びながら落ちてきた鳥をかき集める農家の人々。
誰がやった事なのかを分かっているかのような口ぶりだ。
「あの~、一体何が起きたんですか?」
とりあえず、近くにいる農家の人に聞いてみる事にした。
「ああ、あんたら今日は初めてだったな!今のはアーネスト様が俺らにお恵みをくださったんだ。この土地には守り神様がいらっしゃるからな、魔獣はおろか普通の獣も滅多に近づいてこないんだ。だから、時々高ーい所を飛んでいる鳥をこうやって魔法で撃ち落としてくれるんでさあ」
「そうなんですね。しかし、なんでわざわざそんな事を?」
「前に聞いたら、腕が訛るから単なる肩慣らしだとか仰ってたけど、わざわざ鳥がいる所を狙って俺らの所に落としてくれるんだ。単なる照れ隠しだと皆言っているよ」
なるほどなぁ。
しかし、随分と変わった人もいるもんだ。
本当の理由は知る由もないけど、それでもみんなが喜んでいるんだから水を差してはいけないよな。
でも、俺にはそれよりも気になる事があった。
みんなが、『アーネスト様、ありがとうございまーす!!』と手を振って丘の上にいる人物に感謝の言葉を送っていたその隣に、赤い鎧を着た女の子がいたからだ。
「なぁ、あのアーネストって人の隣にいるの・・・」
「やっぱりそう思った?!あれって、レイラかなぁ」
「私には良く見えませんでしたけど…。お二人とも、目がよろしいのですね。しかし、もしそうだとしたら、大変な人に教えを請う事になりそうですわ」
「でも、あんな凄い魔法を使えるなら、とっても凄い人に教えて貰えるのかもね!」
「おーい、ちょっとあんたらもこの鳥たちを捌くのを手伝ってくれ~。冒険者なら解体はお手ものだろう?」
そう言われて、果物の収穫だけの筈が解体の手伝いまでする事になるのだった。
呼ばれて、大量の鳥を運ぶ俺達。
エースも口に数羽咥えて運び、しっかりと働いてくれている。
うん、相変わらず良い子だな。
よしよしと撫でてやると尻尾をブンブン、可愛い奴め。
そんな中、ヘルメスはひとりでプカプカと浮きながらあらぬ方向を向いて何やら呟いている。
まあ、元からこういう力作業は向いていないからいいんだけどね。
『そうか。お主はまだここの土地を守っておるのだな…。時が来たら会おうぞ、我が友よ』
まるで懐かしいような雰囲気を出して、(蛇だから表情は良く分からないが)近くの山の方を見ているのだった。
あの山に何か居るんだろうか?
あとで訊くことにして、解体する場所へ向かった。
「しかし、あの高級フルーツを栽培して売っているんだから肉なんていくらでも買えるんでは?」
「おう、ウードさんって言ったかい?ここらじゃ、獣は捕れないと言っただろう?だからな、ここウインドに運ばれてくる肉はどれも加工品なんだよ。だからな、こんな新鮮な肉なんて滅多に食えねえんだよ」
「なるほど、そう言う事なんですね」
そんな話をしながら血抜きのため首を落としてをしてから、鳥の羽根を毟り一匹づつ木と木の間に張ったロープに吊るしていく。
俺とクレスは猟もしていたから手慣れたもので、『流石冒険者だなっ、俺らよりも手慣れているなぁっ!』と感心された。
一方のマリアはこういう作業は相変わらず苦手で、血を見て顔を青くしている。
「こういうのは、学校でもしていましたが、やっぱり苦手ですわ…」
「はっはっは。こっちの嬢ちゃんはさっぱりだな~!しかし、人間得手不得手があるんだ、気にする事ねーよ!」
依頼主に応援されて、『でも、これも仕事なんで頑張ります!』と慣れない手つきながらも頑張っていた。
元々童顔な事もあり、その頑張る姿がグッと来るのかなぜかそのあとちやほやされていた。
クレスの方は、『嬢ちゃん、可愛い顔して躊躇なく出来るんだなぁ。すげーや』と農家の人々に感心されつつ、逆にクレスからコツを教えている状態だ。
元々クレスに教えたのは俺なのだが、なんでも天才的に上達するのが早いクレスだけに、今では俺よりも綺麗に解体出来ている。
うーむ、我が娘ながら凄い成長ぶりである。
え、全然、悔しくなんか、無いんだからな!
これは、悔し涙なんかじゃないんだぜっ!
と誰にでもなく強がっていると、いつの間にか近くに来ていたヘルメスに一言言われる。
『お主は、誰に強がっているのだ…。良い歳したおっさんが見苦しいぞ』
(いや、数千年生きているヘルメスに言われたくはないんだが…)
『今、何か失礼な事を考えなかったか?』
(いえっ、滅相もございません)
こうして、ウインド初日の仕事を和気あいあいとした雰囲気でこなしていく俺達であった。