マチスさんに正式に認められ、正式にパーティーを組む事になった俺と、クレス、マリア、レイラ。
拠点として家も提供してもらい、俺の装備も新調したものを提供してもらった。
パーティーのリーダーには俺がなり、いよいよ冒険者として本格的な活動をすることになった。
ジャイアントウーズ討伐を、俺達のパーティー『ラ・ステラ』が異例の速さで達成した事はすぐ町中に知れ渡り、クレス達の知名度と注目度が高くなっていた。
そしてそのパーティーに俺がいる事で好奇の目が半分、驚きが半分といった感じで違う意味でも注目されている。
「それで、ウードさん。しばらくの活動目標はあるの?」
「そうだな。俺はクレスと他の町へ旅をするために冒険者になったんだけど、他の国の町の中に入るには依頼を受けてない場合はすんなり入れないんだ。だから、まずはDランク冒険者を目指そうと思う」
冒険者ギルドは、各国同士で取り決められていてルールが厳格に統一されている。
その中に、ギルドタグは偽造出来ない魔法で印字された物を利用するというのがある。
その為、このギルドタグというのは身分証明書代わりになるのだ。
そして、Dランク以上の冒険者の情報はすべての国に通達する義務が課されている。
他の国で犯罪を犯してしまうと、すぐに身元が割れるわけであるが、逆に恩恵として、どの国に行ってもDランク以上の冒険者はタグを見せるだけで入国する事が可能なのだ。
よって自由に国を行き来するには、Dランク冒険者になるのが一番いいのである。
と、もちろんこれはマチスさんから教えて貰った知識である。
ギルドにも確認したが、その通りだと答えてくれたので間違いない。
「なるほどね…。冒険者のランクには、そういう恩恵もあるんだね」
「ええ、そうですわ。商人なら、商人ギルドのタグに同じような恩恵がありますが、私達が今から商売を始めても、同じように国を行き来が出来るゴールドタグを貰うのには十数年は掛かるでしょうね」
ちなみに、商業ギルドのランクはプラチナ、ゴールド、シルバー、ブロンズの順になっていて、マチスさんはゴールドタグらしい。
その上のプラチナとなると、王家御用達とかいう本当に上位の商人くらいしか持っていないとの事。
このランクも商人としての功績によって上がるのだが、簡単に言うとどれだけ稼いだかが基準になるという。
一生を掛けてもシルバーのままとかザラにいるらしいので、今から俺らが頑張っても無謀である。
「それでも早い方だろうさ。実際わたしの父は…。いや、そんな事は置いといてさ。じゃあ、まずはパーティー全員がDランクを目指すという事かな?」
「そうだな。クレスは幸い、既にDランクになっているからあとは俺らだな。ジャイアントウーズを討伐したおかげで評価が上がっているみたいだけど、パーティーで討伐したからDランクに上がるのには功績が少し足りないみたいだ」
「だからと言って、クレスみたいに一人でDランクの魔物とか無茶な戦いはしたくはないよ?」
「レイラ。それ、やった本人を目の前にして言う!?」
「ウードさん、別に全員がDランクになる必要はありませんよ?私達はパーティーなのですから、パーティーとしての冒険者ランクをDにすれば同じ恩恵が受けれるようになりますわ」
なるほど、パーティーを正式に組むとそういうメリットも生まれるのか。
ちなみに、『ラ・ステラ』のパーティーランクはEランクだ。
これは、ジャイアントウーズを討伐した事と、パーティーメンバーの平均ランクを勘案して決定されたらしい。
新人ばかりのパーティーとしては、かなり異例だという。
他の卒業生たちは全員Eランク冒険者なのに実績が低いという事で、パーティーランクはその下のFランクだと言っていた。
「まずは地道に依頼をこなしていくしかない。まだ始めたばかりだし、焦って失敗したら元も子もない。大丈夫、この4人でやればなんとかなるさ」
年長者らしく、余裕ぶってそう言うも。
「そんな事を言っている、ウードさんが一番無茶しているんだけどね~」
と、悪戯っぽい顔をしたレイラにからかわれるのだった。
「もう、レイラったら!」
「あはははっ」
こうして、俺達『ラ・ステラ』の活動は始まったのだ。
───
まずはパーティーとしてDランクを目指しつつ、小さな依頼から、近隣の討伐依頼などを卒なくこなしていった。
それこそ、どぶさらいからスライム討伐、ゴブリンの討伐、オーク討伐およびの肉の調達、薬草採取や護衛任務などなど。
順調に評価が上がり、そろそろランクがあがりそうな時であった。
ウード達のパーティー『ラ・ステラ』に討伐依頼が舞い込んできた。
「ゴブリン退治ですか?」
「はい、それも集落の可能性が高いです」
内容は、最近見つかった大きな地下洞窟にゴブリンの集落があるのが分かったので、大きくなる前に討伐して欲しいというものだった。
ゴブリンは、単体では脅威度Gランク以下の最下級魔物となるが、集団となると一気に危険度が上がる。
まして、大きな集落ともなればDランク相当となるのだ。
さらに集落の中に上位種のホブゴブリンに進化したものや、ゴブリンロード、ゴブリンキングなど高位種などが現れた場合は脅威度がどんどん上がっていく。
そうなる前に、早めに討伐するのが通例となるらしい。
今の所、ホブゴブリンは見かけないため上位種が生まれていないと思われるので、今のうちに討伐することになったのだという。
「まぁ、今更ゴブリンとかなら楽勝じゃない?」
「レイラ、そんな事言って油断したら駄目よ?あいつらは狡猾で残忍な性格。下手をして捕まったりしたら無事では済まないわ」
レイラがあんな雑魚は目を瞑っても倒せるくらいの勢いで言うが、マリアがそれを窘めた。
過去に自分も経験しているのもあり、条件が悪ければ熟練の冒険者でも後れを取るのを目の当たりにしている。
「そんなに警戒するほどなのかなー」
「レイラ。冒険者ギルドの人の話では、私達駆け出しの死亡率が一番高いのはゴブリン討伐らしいわ。既に小隊規模は討伐したことがあるけど、集落レベルは初めてでしょう?だから決して油断すべきじゃないよ」
「はいはい、わかったよー。二人してそんなに怖い顔しないでよぅ・・・」
流石のレイラも、クレスにまで窘められれば白旗を上げるしかないみたいだ。
ここでもお姉さん気質を発揮しているクレスだった。
「まぁまぁ。俺も冒険者になったばかりで偉そうには言えないけど、慎重に行って損する事はないさ。皆ならもっと強くなれるだろうし、まずは確実に準備はしておこう」
この時は俺もそこまで心配はしていなかった。
まさか、あんな事になるとは…。
拠点として家も提供してもらい、俺の装備も新調したものを提供してもらった。
パーティーのリーダーには俺がなり、いよいよ冒険者として本格的な活動をすることになった。
ジャイアントウーズ討伐を、俺達のパーティー『ラ・ステラ』が異例の速さで達成した事はすぐ町中に知れ渡り、クレス達の知名度と注目度が高くなっていた。
そしてそのパーティーに俺がいる事で好奇の目が半分、驚きが半分といった感じで違う意味でも注目されている。
「それで、ウードさん。しばらくの活動目標はあるの?」
「そうだな。俺はクレスと他の町へ旅をするために冒険者になったんだけど、他の国の町の中に入るには依頼を受けてない場合はすんなり入れないんだ。だから、まずはDランク冒険者を目指そうと思う」
冒険者ギルドは、各国同士で取り決められていてルールが厳格に統一されている。
その中に、ギルドタグは偽造出来ない魔法で印字された物を利用するというのがある。
その為、このギルドタグというのは身分証明書代わりになるのだ。
そして、Dランク以上の冒険者の情報はすべての国に通達する義務が課されている。
他の国で犯罪を犯してしまうと、すぐに身元が割れるわけであるが、逆に恩恵として、どの国に行ってもDランク以上の冒険者はタグを見せるだけで入国する事が可能なのだ。
よって自由に国を行き来するには、Dランク冒険者になるのが一番いいのである。
と、もちろんこれはマチスさんから教えて貰った知識である。
ギルドにも確認したが、その通りだと答えてくれたので間違いない。
「なるほどね…。冒険者のランクには、そういう恩恵もあるんだね」
「ええ、そうですわ。商人なら、商人ギルドのタグに同じような恩恵がありますが、私達が今から商売を始めても、同じように国を行き来が出来るゴールドタグを貰うのには十数年は掛かるでしょうね」
ちなみに、商業ギルドのランクはプラチナ、ゴールド、シルバー、ブロンズの順になっていて、マチスさんはゴールドタグらしい。
その上のプラチナとなると、王家御用達とかいう本当に上位の商人くらいしか持っていないとの事。
このランクも商人としての功績によって上がるのだが、簡単に言うとどれだけ稼いだかが基準になるという。
一生を掛けてもシルバーのままとかザラにいるらしいので、今から俺らが頑張っても無謀である。
「それでも早い方だろうさ。実際わたしの父は…。いや、そんな事は置いといてさ。じゃあ、まずはパーティー全員がDランクを目指すという事かな?」
「そうだな。クレスは幸い、既にDランクになっているからあとは俺らだな。ジャイアントウーズを討伐したおかげで評価が上がっているみたいだけど、パーティーで討伐したからDランクに上がるのには功績が少し足りないみたいだ」
「だからと言って、クレスみたいに一人でDランクの魔物とか無茶な戦いはしたくはないよ?」
「レイラ。それ、やった本人を目の前にして言う!?」
「ウードさん、別に全員がDランクになる必要はありませんよ?私達はパーティーなのですから、パーティーとしての冒険者ランクをDにすれば同じ恩恵が受けれるようになりますわ」
なるほど、パーティーを正式に組むとそういうメリットも生まれるのか。
ちなみに、『ラ・ステラ』のパーティーランクはEランクだ。
これは、ジャイアントウーズを討伐した事と、パーティーメンバーの平均ランクを勘案して決定されたらしい。
新人ばかりのパーティーとしては、かなり異例だという。
他の卒業生たちは全員Eランク冒険者なのに実績が低いという事で、パーティーランクはその下のFランクだと言っていた。
「まずは地道に依頼をこなしていくしかない。まだ始めたばかりだし、焦って失敗したら元も子もない。大丈夫、この4人でやればなんとかなるさ」
年長者らしく、余裕ぶってそう言うも。
「そんな事を言っている、ウードさんが一番無茶しているんだけどね~」
と、悪戯っぽい顔をしたレイラにからかわれるのだった。
「もう、レイラったら!」
「あはははっ」
こうして、俺達『ラ・ステラ』の活動は始まったのだ。
───
まずはパーティーとしてDランクを目指しつつ、小さな依頼から、近隣の討伐依頼などを卒なくこなしていった。
それこそ、どぶさらいからスライム討伐、ゴブリンの討伐、オーク討伐およびの肉の調達、薬草採取や護衛任務などなど。
順調に評価が上がり、そろそろランクがあがりそうな時であった。
ウード達のパーティー『ラ・ステラ』に討伐依頼が舞い込んできた。
「ゴブリン退治ですか?」
「はい、それも集落の可能性が高いです」
内容は、最近見つかった大きな地下洞窟にゴブリンの集落があるのが分かったので、大きくなる前に討伐して欲しいというものだった。
ゴブリンは、単体では脅威度Gランク以下の最下級魔物となるが、集団となると一気に危険度が上がる。
まして、大きな集落ともなればDランク相当となるのだ。
さらに集落の中に上位種のホブゴブリンに進化したものや、ゴブリンロード、ゴブリンキングなど高位種などが現れた場合は脅威度がどんどん上がっていく。
そうなる前に、早めに討伐するのが通例となるらしい。
今の所、ホブゴブリンは見かけないため上位種が生まれていないと思われるので、今のうちに討伐することになったのだという。
「まぁ、今更ゴブリンとかなら楽勝じゃない?」
「レイラ、そんな事言って油断したら駄目よ?あいつらは狡猾で残忍な性格。下手をして捕まったりしたら無事では済まないわ」
レイラがあんな雑魚は目を瞑っても倒せるくらいの勢いで言うが、マリアがそれを窘めた。
過去に自分も経験しているのもあり、条件が悪ければ熟練の冒険者でも後れを取るのを目の当たりにしている。
「そんなに警戒するほどなのかなー」
「レイラ。冒険者ギルドの人の話では、私達駆け出しの死亡率が一番高いのはゴブリン討伐らしいわ。既に小隊規模は討伐したことがあるけど、集落レベルは初めてでしょう?だから決して油断すべきじゃないよ」
「はいはい、わかったよー。二人してそんなに怖い顔しないでよぅ・・・」
流石のレイラも、クレスにまで窘められれば白旗を上げるしかないみたいだ。
ここでもお姉さん気質を発揮しているクレスだった。
「まぁまぁ。俺も冒険者になったばかりで偉そうには言えないけど、慎重に行って損する事はないさ。皆ならもっと強くなれるだろうし、まずは確実に準備はしておこう」
この時は俺もそこまで心配はしていなかった。
まさか、あんな事になるとは…。