マチスさんから受けた依頼を達成した翌日、クレスを迎えに行くのとクエストを無事に達成した事を報告しにマチス商会に来た。
元々酒に弱いので潰れてしまったが、その分飲んだ量はそれほどじゃ無かったので何とか二日酔いにならずに済んだみたいだ。
(卒業パーティーの時は、そこまで飲んでいなかったから平気だったんだな)
宿屋までは一緒に飲んでいた冒険者に肩を貸して貰って帰ってきたらしいが、記憶が曖昧になっている。
もう少し酒には気を付けないといけないなと反省した。
というより、この事がバレたらクレスに怒られそうだしな。
(ああ見えて、怒ると怖いからなクレスは)
『全く、浮かれ過ぎだぞウードよ』
(ははは、面目ない)
いつも通りヘルエスと会話しながら待っていると、マチス商会の丁稚さんが迎えに来た。
「ウードさん、旦那様がお呼びです。こちらへどうぞ」
案内されるまま、応接室に通された。
しばらくすると、そこにクレスとレイラもやって来た。
「おはようお父さん!昨日はちゃんと帰れた?」
「てっきり酔いつぶれて、もっと遅く来ると思っていたわ」
ぎくっ。
クレスにおはようの挨拶をされて挨拶を返そうとしたら、すかさずレイラにキレのあるツッコミをいれられる。
…相変わらず勘のいい子だな。
「おはようクレス、レイラ。ははは、そんな事はしないぞ?ちゃんと宿屋に問題なく帰ったさ!」
『…』
嘯く俺に冷たい視線を送るヘルメス。
頼む、今はそんな目で見ないでくれ。
訝しむクレスの視線に、冷たい汗を流す俺だったが。
「おおー、ウードさん。よくいらした」
「ウードさん、おはようございます」
マチスさんとマリアが応接室にやってきた。
ふう、助かった。
「おはようございます、マチスさん。娘のクレスを泊めていただいてありがとうございました」
「いやいや、うちのマリアの友人なのです。いつでも泊まりにいらしてください」
にこやかな笑顔で返答するマチスさん。
何かとても機嫌がいいみたいだな。
「ありがとうございます。お風呂にも入らせていただいて、マリアとレイラとも沢山お話出来てとても楽しい時間を過ごせました!」
クレスもマチスさんに改めてお礼をいう。
レイラも『ありがとうございました』とクレスに合わせてお辞儀をしていた。
うんうんと頷いてから、まずは座ってと手で合図するマチスさん。
「まずは、クエストの件ですが…。無事達成していただいたようですね。私からも感謝いたします」
ん?感謝?
確かにクエストを持ってきたのはマチスさんだが、感謝されるとは思わなかった。
「実は、あのクエストですが…。依頼者は私なんですよ」
「えええっ!?そうだったんですか?でも、ギルドからは町からの依頼と聞いていましたが…」
「あの地下水道はですね、町の領主から我がマチス商会が管理を依頼されているのですよ。なので、あそこで何か事故でも起こると私の責任になってしまうのです」
なるほど、通りでマチスさんがクエスト書を持っていたわけだ。
あれを偶然に選んだわけでもなかったんだな。
「勿論、数人の息のかかった冒険者にも依頼をしていたんですが、中々空いている者がいなくて。そんな矢先に先日の話になったので、試験も兼ねて依頼したのです。おかげで大変助かりましたよ」
さすがこの町を仕切っている大商人である。
一つの依頼で二つの事を済ましてしまうあたり、頭のキレが凡人の俺とは違うみたいだ。
「ただ、ギルドからの報告を聞いて肝を冷やしました。まさか、そこまで育ったジャイアントウーズだったとは…。マリアに何かあったら、一生後悔するところでしたよ。改めて、ウードさん、そしてクレスさん、レイラさん、ありがとう。マリアもよく頑張ったね」
「ううん、私はまだまだだったわお父様。ウードさんが体を張ってくれなかったら、大怪我をしていたかもしれない。それに、クレスとレイラが一緒だったから倒せたのよ」
「なるほど、自分の力量を正確に確認する事も出来たようだね。良い経験になっただろう?これからは、守られてるだけではダメなんだよ?マリア、それがお前に出来るのかい?」
「ええ、もちろんよお父様。今回の事でより自分の力で皆を助けたいと思ったわ。だからこそ、ここで諦めたり出来ない!」
わがままは言う事があっても、マチスさんに強い意志を持って主張するマリアはここ数年見たことがないかもしれない。
それほど、彼女も真剣だという事だろう。
「マチスさん、私からもお願いします。マリアは私達には必要なんです。治療が使えるからだとか、氷魔法が使えるからとかではなく、マリアだからこそ一緒に来て欲しいんです」
「うんうん。マリアがいないと、私達は結構突っ走るところがあるからね。マリアがいないと、きっと駄目になるわ。お願いします、マチスさん!」
クレスとレイラもマチスさんに改めて、パーティーにマリアを欲しいとお願いする。
あのレイラが、真剣な顔で頭を下げている。
「ウードさんは、どう考えていますか?」
「勿論、マリアさんは優秀な方です。どのパーティーでも欲しいという人材だと思います。でも、それ以上に3人を見てて思いました。まるで姉妹なんじゃないかというくらい、息がぴったりなんですよ。何かあっても、俺が身を挺してでも守りますからどうか許可貰えませんか?」
昨日の戦闘を見てて思った。
言葉で伝える前に、既に言われることが分かっているかのように動く3人。
まるで熟練の冒険者達のように、意思疎通が取れていた。
素人の俺が見ても、その連携は見事なものだったのだ。
これ以上のチームワークは中々ないと思える。
「…わかりました、いいでしょう。そもそも、約束でしたからね。商人とは交わした約束は絶対に守るのが鉄則です。見たところ、4人とも大きなケガをしていないようですし、合格としましょう。但し、一つだけ条件があります」
「それは、なんですか?」
クレスが、条件と言う言葉に食いつく。
「それはね、クレスさん。4人のパーティーのリーダーをウードさんがやるという事だよ」
「「え!?」」
レイラとマリアがこっちを見る。
しかし、クレスだけがなぜかホッとした顔をしていた。
すると一人の男が使用人の案内で部屋に入ってきた。
「よお、ウードさん久しぶりだな」
「君は…、ドリス」
「マチスさんから話は聞いたぜ。ウードさん達がこのクエストを失敗したら、俺らが受ける予定だったんだよ」
「なるほど、そうだったんだな」
なるほど、先ほどの息の掛かった冒険者の一人はあの時のドリスか。
彼は俺よりも若いが、熟練の冒険者だ。
このくらいのクエストなら、問題なくこなせるんだろう。
「お嬢ちゃん方、パーティーリーダーに必要なのは何かわかるかい?」
「えーと、冒険者としての強さとか?」
ドリスの質問にレイラが答える。
「それも一つの基準だな。だがな、一番大事なのは心の強さだ。だから、パーティーリーダーは本人の強さが重要なんじゃない、むしろそれよりもパーティーを纏める能力や、メンバーを守るための知識や度量がないとダメなんだよ。それを考えたら、ウードさんしかいないだろう?」
そこで3人がなるほどと、頷く。
年長者だからというのもあるが、一番に安全を考えていたのは間違いなくウードであった。
そして、予期しない出来事が起こった時に、真っ先に体が動いたのもウードであったからだ。
ギルドでも詳しく話を聞いて、色々準備していたのもウードだった事も思い出す。
「そっかー。最初は、魔物の知識が豊富なクレスかマリアがいいかなと思ってたけど、今の話を聞いたら…。私はウードさんで異論はないわ」
レイラが真っ先に賛成の意思を告げる。
「私もそれで問題ありませんわ。ちょっと無茶する時もあるけど、ウードさんが居なかったら全員が無事では無かったと思うの。だから、私も賛成ですわ」
マリアも俺がリーダーになる事を賛成する。
そして、クレスはと目配せをした。
「私は勿論賛成よ。だって、最初からそのつもりだったし、お父さんともそう話をしていたから」
クレスはさも当然だと、いうかのように返事をする。
そうだ、そもそも変な虫が付かないようにするために俺がついて行くんだったな。
「では、決まりですね。ウードさんがパーティーリーダとしてマリアを冒険者になる事を認めましょう」
クレス、レイラ、マリアが同時に「やったー!」と喜び飛びあがる。
そしてマチスさんに、「ありがとうございます!」と感謝を伝えていた。
「ウードさん、これからは同業者なんだ。何かあったらいつでも頼ってくれよ!」
「それはありがたい、よろしく頼む」
俺はドリスから熱い握手を求められて、ガシッと握り返す。
こうして、マリアが冒険者になる事を許され、そのパーティーリーダーを俺がやる事になるのだった。
「しばらくは冒険者として活動する拠点はカンドになるのでしょう?でしたら、私が拠点となる家を提供しましょう。それと…」
マチスさんは、マリアがパーティーに加わるという事もあり、全面的に支援してくれると言ってくれた。
いちいちサイハテ村に帰るのは時間が掛かるだろうからと、余っている家を使わせてくれる事になった。
また、装備の補給もしてくれるそうだ。
これは、注目を浴びている俺らがマチス商会の装備品を使っているとなれば、活躍をするたびに宣伝になるからだと言っていた。
流石、抜け目ない人だ。
まぁ、半分以上は娘の安全の為であろうけど。
こうして正式にマリアを迎え、ギルドにパーティーの申請を提出した。
パーティーリーダーには勿論ウードと記載して。
ウード的にはマチスとの約束もあるし、自分が一番歳をくっているだけだからと思っていたが、他の3人もその方が安心だと改めて言ってくれたのでそれでいこうとなった。
やはり、ドリスの助言は大きかったようだ。
ギルドにパーティー結成を申請する際、必ずパーティー名が必要になると言われた。
後でも変更出来るということで、仮で新しい星という古代語からとり『ラ・ステラ』とした。
この命名案は、物語好きだというマリアだ。
『風魔法』のクレス。
『高速剣』のレイラ。
『治癒と氷魔法』のマリア。
…そして、新人の『おっさんテイマー』のウード。
こうして、新パーティーの『ラ・ステラ』は結成されたのであった。
元々酒に弱いので潰れてしまったが、その分飲んだ量はそれほどじゃ無かったので何とか二日酔いにならずに済んだみたいだ。
(卒業パーティーの時は、そこまで飲んでいなかったから平気だったんだな)
宿屋までは一緒に飲んでいた冒険者に肩を貸して貰って帰ってきたらしいが、記憶が曖昧になっている。
もう少し酒には気を付けないといけないなと反省した。
というより、この事がバレたらクレスに怒られそうだしな。
(ああ見えて、怒ると怖いからなクレスは)
『全く、浮かれ過ぎだぞウードよ』
(ははは、面目ない)
いつも通りヘルエスと会話しながら待っていると、マチス商会の丁稚さんが迎えに来た。
「ウードさん、旦那様がお呼びです。こちらへどうぞ」
案内されるまま、応接室に通された。
しばらくすると、そこにクレスとレイラもやって来た。
「おはようお父さん!昨日はちゃんと帰れた?」
「てっきり酔いつぶれて、もっと遅く来ると思っていたわ」
ぎくっ。
クレスにおはようの挨拶をされて挨拶を返そうとしたら、すかさずレイラにキレのあるツッコミをいれられる。
…相変わらず勘のいい子だな。
「おはようクレス、レイラ。ははは、そんな事はしないぞ?ちゃんと宿屋に問題なく帰ったさ!」
『…』
嘯く俺に冷たい視線を送るヘルメス。
頼む、今はそんな目で見ないでくれ。
訝しむクレスの視線に、冷たい汗を流す俺だったが。
「おおー、ウードさん。よくいらした」
「ウードさん、おはようございます」
マチスさんとマリアが応接室にやってきた。
ふう、助かった。
「おはようございます、マチスさん。娘のクレスを泊めていただいてありがとうございました」
「いやいや、うちのマリアの友人なのです。いつでも泊まりにいらしてください」
にこやかな笑顔で返答するマチスさん。
何かとても機嫌がいいみたいだな。
「ありがとうございます。お風呂にも入らせていただいて、マリアとレイラとも沢山お話出来てとても楽しい時間を過ごせました!」
クレスもマチスさんに改めてお礼をいう。
レイラも『ありがとうございました』とクレスに合わせてお辞儀をしていた。
うんうんと頷いてから、まずは座ってと手で合図するマチスさん。
「まずは、クエストの件ですが…。無事達成していただいたようですね。私からも感謝いたします」
ん?感謝?
確かにクエストを持ってきたのはマチスさんだが、感謝されるとは思わなかった。
「実は、あのクエストですが…。依頼者は私なんですよ」
「えええっ!?そうだったんですか?でも、ギルドからは町からの依頼と聞いていましたが…」
「あの地下水道はですね、町の領主から我がマチス商会が管理を依頼されているのですよ。なので、あそこで何か事故でも起こると私の責任になってしまうのです」
なるほど、通りでマチスさんがクエスト書を持っていたわけだ。
あれを偶然に選んだわけでもなかったんだな。
「勿論、数人の息のかかった冒険者にも依頼をしていたんですが、中々空いている者がいなくて。そんな矢先に先日の話になったので、試験も兼ねて依頼したのです。おかげで大変助かりましたよ」
さすがこの町を仕切っている大商人である。
一つの依頼で二つの事を済ましてしまうあたり、頭のキレが凡人の俺とは違うみたいだ。
「ただ、ギルドからの報告を聞いて肝を冷やしました。まさか、そこまで育ったジャイアントウーズだったとは…。マリアに何かあったら、一生後悔するところでしたよ。改めて、ウードさん、そしてクレスさん、レイラさん、ありがとう。マリアもよく頑張ったね」
「ううん、私はまだまだだったわお父様。ウードさんが体を張ってくれなかったら、大怪我をしていたかもしれない。それに、クレスとレイラが一緒だったから倒せたのよ」
「なるほど、自分の力量を正確に確認する事も出来たようだね。良い経験になっただろう?これからは、守られてるだけではダメなんだよ?マリア、それがお前に出来るのかい?」
「ええ、もちろんよお父様。今回の事でより自分の力で皆を助けたいと思ったわ。だからこそ、ここで諦めたり出来ない!」
わがままは言う事があっても、マチスさんに強い意志を持って主張するマリアはここ数年見たことがないかもしれない。
それほど、彼女も真剣だという事だろう。
「マチスさん、私からもお願いします。マリアは私達には必要なんです。治療が使えるからだとか、氷魔法が使えるからとかではなく、マリアだからこそ一緒に来て欲しいんです」
「うんうん。マリアがいないと、私達は結構突っ走るところがあるからね。マリアがいないと、きっと駄目になるわ。お願いします、マチスさん!」
クレスとレイラもマチスさんに改めて、パーティーにマリアを欲しいとお願いする。
あのレイラが、真剣な顔で頭を下げている。
「ウードさんは、どう考えていますか?」
「勿論、マリアさんは優秀な方です。どのパーティーでも欲しいという人材だと思います。でも、それ以上に3人を見てて思いました。まるで姉妹なんじゃないかというくらい、息がぴったりなんですよ。何かあっても、俺が身を挺してでも守りますからどうか許可貰えませんか?」
昨日の戦闘を見てて思った。
言葉で伝える前に、既に言われることが分かっているかのように動く3人。
まるで熟練の冒険者達のように、意思疎通が取れていた。
素人の俺が見ても、その連携は見事なものだったのだ。
これ以上のチームワークは中々ないと思える。
「…わかりました、いいでしょう。そもそも、約束でしたからね。商人とは交わした約束は絶対に守るのが鉄則です。見たところ、4人とも大きなケガをしていないようですし、合格としましょう。但し、一つだけ条件があります」
「それは、なんですか?」
クレスが、条件と言う言葉に食いつく。
「それはね、クレスさん。4人のパーティーのリーダーをウードさんがやるという事だよ」
「「え!?」」
レイラとマリアがこっちを見る。
しかし、クレスだけがなぜかホッとした顔をしていた。
すると一人の男が使用人の案内で部屋に入ってきた。
「よお、ウードさん久しぶりだな」
「君は…、ドリス」
「マチスさんから話は聞いたぜ。ウードさん達がこのクエストを失敗したら、俺らが受ける予定だったんだよ」
「なるほど、そうだったんだな」
なるほど、先ほどの息の掛かった冒険者の一人はあの時のドリスか。
彼は俺よりも若いが、熟練の冒険者だ。
このくらいのクエストなら、問題なくこなせるんだろう。
「お嬢ちゃん方、パーティーリーダーに必要なのは何かわかるかい?」
「えーと、冒険者としての強さとか?」
ドリスの質問にレイラが答える。
「それも一つの基準だな。だがな、一番大事なのは心の強さだ。だから、パーティーリーダーは本人の強さが重要なんじゃない、むしろそれよりもパーティーを纏める能力や、メンバーを守るための知識や度量がないとダメなんだよ。それを考えたら、ウードさんしかいないだろう?」
そこで3人がなるほどと、頷く。
年長者だからというのもあるが、一番に安全を考えていたのは間違いなくウードであった。
そして、予期しない出来事が起こった時に、真っ先に体が動いたのもウードであったからだ。
ギルドでも詳しく話を聞いて、色々準備していたのもウードだった事も思い出す。
「そっかー。最初は、魔物の知識が豊富なクレスかマリアがいいかなと思ってたけど、今の話を聞いたら…。私はウードさんで異論はないわ」
レイラが真っ先に賛成の意思を告げる。
「私もそれで問題ありませんわ。ちょっと無茶する時もあるけど、ウードさんが居なかったら全員が無事では無かったと思うの。だから、私も賛成ですわ」
マリアも俺がリーダーになる事を賛成する。
そして、クレスはと目配せをした。
「私は勿論賛成よ。だって、最初からそのつもりだったし、お父さんともそう話をしていたから」
クレスはさも当然だと、いうかのように返事をする。
そうだ、そもそも変な虫が付かないようにするために俺がついて行くんだったな。
「では、決まりですね。ウードさんがパーティーリーダとしてマリアを冒険者になる事を認めましょう」
クレス、レイラ、マリアが同時に「やったー!」と喜び飛びあがる。
そしてマチスさんに、「ありがとうございます!」と感謝を伝えていた。
「ウードさん、これからは同業者なんだ。何かあったらいつでも頼ってくれよ!」
「それはありがたい、よろしく頼む」
俺はドリスから熱い握手を求められて、ガシッと握り返す。
こうして、マリアが冒険者になる事を許され、そのパーティーリーダーを俺がやる事になるのだった。
「しばらくは冒険者として活動する拠点はカンドになるのでしょう?でしたら、私が拠点となる家を提供しましょう。それと…」
マチスさんは、マリアがパーティーに加わるという事もあり、全面的に支援してくれると言ってくれた。
いちいちサイハテ村に帰るのは時間が掛かるだろうからと、余っている家を使わせてくれる事になった。
また、装備の補給もしてくれるそうだ。
これは、注目を浴びている俺らがマチス商会の装備品を使っているとなれば、活躍をするたびに宣伝になるからだと言っていた。
流石、抜け目ない人だ。
まぁ、半分以上は娘の安全の為であろうけど。
こうして正式にマリアを迎え、ギルドにパーティーの申請を提出した。
パーティーリーダーには勿論ウードと記載して。
ウード的にはマチスとの約束もあるし、自分が一番歳をくっているだけだからと思っていたが、他の3人もその方が安心だと改めて言ってくれたのでそれでいこうとなった。
やはり、ドリスの助言は大きかったようだ。
ギルドにパーティー結成を申請する際、必ずパーティー名が必要になると言われた。
後でも変更出来るということで、仮で新しい星という古代語からとり『ラ・ステラ』とした。
この命名案は、物語好きだというマリアだ。
『風魔法』のクレス。
『高速剣』のレイラ。
『治癒と氷魔法』のマリア。
…そして、新人の『おっさんテイマー』のウード。
こうして、新パーティーの『ラ・ステラ』は結成されたのであった。