改めて私に断りを入れてくれ、自然な気遣いと仕草で、足を広げる男性によくある形ではなく、彼は私の隣の空席に納まる。

私たちの間に僅かな空間に優しさを感じ、また安心する。

「――さっきは、ありがとうございました」

「でしゃばったなって反省してる。ホント悪かった」

「そんなことっ……実際、救われました。独りだったら多分、動けないまま泣いちゃってたかも。情けないです」

「そんなことない。誰だって、傷つけられたら泣きたくなる」

肯定されることは私にとって多くなく、その赦しは、今日大学で彼が私を助けてくれたときのことと合わせて、悲しさとは別の感情で泣いてしまいそうだった。



数時間前のこと――……

なんのことはない、のかもしれない。

けれど、私はとても傷ついてしまっていた。



大学で知り合った同期の男の子に、前日私は告白をされていた。

……その一時間後、その人は私ではない女の子と恋愛の意味でのお付き合いの約束を交わしていた。

現場に出くわしてしまった私は、存在を気づかれるまでそこに居てしまい、気づかれてから逃げ出した。

怖かったのだ。私に見られても悪びれもせず笑うその人たちが。別に普通のことだと、その輪に巻き込もうと近づいてくる人たちが。

そうして今日、私は告白してきた人に断りの返事をしたのだけれど、色々と罵られてしまった。

頭の中で、これに関して価値観の違いを埋めることは無理だと冷静でいようとしながらも、公衆の面前で私だけが悪いように言われてしまっては精神的に負担が大きく、いっそのこと気を失ったほうが楽なくらいの状況だった。