彼を迎えに来たのかもしれない。邪魔をしてはいけないと、この場は切り上げて帰ろうとしたところ、

「あれ? この前おまえがバカから庇ってたおまえがずっと気になってた子だよね。よろしく。あ~やっと付き合えたの? 今から遊びに行くの? だったらさ、おまえの部屋貸してくんない?」

「っ、おいっ!」

「昨日寝てないからバイトまで休みたいんだよ~。おまえの家こっから徒歩数分じゃん。バイト先もすぐだし、この前シフト変わってやっただろ?」

見上げた彼は、顔色を悪くしていた。

青くなったと思ったら次は赤くなり、そうしてなぜか彼は、友達に掴みかかっていくように腕を上げたのだった。

「だめっ」

私は思わず彼の行動を止めようと、その腕に手を掛ける。

力には敵わずはね除けられるくらいの覚悟はしていたけれど、微力な私の力で彼の動きは停止した。

それから彼は、その場から逃げ出してしまった。