「……」
「……」
残された私たちは無言のまま、お互いの反応を暫く窺っていた。
「……………………、ごめんなさい」
「こっちこそ……ごめんなさい」
「早く謝らなきゃって思ってたんだけど」
「私も。……でも、なんか怖くて。会ったら、それが話せる最後にならないかって、ずっと怖かった。嫌だった」
「そんなこと、あるはずがない」
「うん。わかってても、怖かった」
「……あたしも同じ」
ベンチの端と端だった距離を少し詰めると、親友のほうからもそうしてくれた。
彼がペットボトルのお茶を買って戻って来てくれる頃には、親友と私は少しだけぎこちなさが残るものの、わだかまりは解けていて。
そんなくらいで解消することだった。けれど、とても大きな問題でもあり、勇気のいることだった。
「ありがとう」
「オレは何もしてないよ」
そう言って彼は、到着したさっきまでの帰路とは反対方向の電車に乗り込んで行ってしまった。バイトだと、元気に手を振りながら。