「かくかくしかじか、特にこの神社は巫女と婚姻した神様が奉り神となるからのう、

巫女不足も相まって、先代の頃からすでに奉り神がおらんかったんじゃ」

「奉り神がいないと、具体的にどう困るんです?」

「この界隈の神気が薄れ、あやかしや霊が住みやすい土地になってしまうんじゃ。当然、あやかし関係の問題事もたくさん起こってくる。だが、わしも歳だからのう」

腰をさすりながら、吉綱さんがとほほと俯く。

「この龍宮神社は霊やあやかし、神様や人間。それらが共存できるよう、仲を取り持つ神社じゃ。神主にもその役目があるんじゃが、それもしんどくなってきてのう」

「吉綱さん、後継者とかいないんですか?」

まずいことを聞いてしまっただろうか。吉綱さんが「うっ」と苦い顔をする。