俺は今日も、朝早くからコンビニへ向かう。

何度か出動も経験したし、端末の使い方もそこそこ覚えた。

出動要請以外にも、各自研究開発を担当していたり、支部としてのルーチンワークもある。

警視庁サイバー攻撃特別捜査対応専門機動部隊、久谷支部の日々は続く。

「だから、上手くやる必要はないんだって! ただちょっと動かせればいいんだ。実際の操縦を長時間しかもアクロバティックにやる必要はない。そんなのは専門に任せりゃいい。俺たちは何かの時に、ある程度動かせるくらいの知識があればいいんだ!」

戦闘機の飛行訓練はまだ続いていた。

潜水艦と戦車の操縦も習ったが、どうしてもまだこれだけは納得がいかない。

「こんなところに時間かけてどうする。もっと他のことやれよ。俺たちの仕事の範囲外だ!」

「ねぇ、磯部くんのアバター作ったの。録音音声ほしいから、声ちょうだい」

いづみが割り込んできた。

最近の俺たちは、ぶつかってばかりだ。

竹内は「もう知らん!」と捨て台詞を残し立ち去る。

俺としては、一つ一つに納得がいかないと先に進めないタイプなのだから、仕方がない。

「別に付き合ってほしいなんて、頼んでないし」

「頼まれてるのは隊長からよ。あんたからじゃない」

河川敷での夕日に照らされた、飯塚さんの横顔が浮かぶ。

「俺、まだ隊長とろくにしゃべったことないんだけど」

いづみはマイクを向けた。

「じゃなきゃこんな面倒くさいこと、私だってやらないわ」

「それも隊長と飯塚さんからの指示?」

「そう」

いづみは今、俺のアンドロイドを制作している。

彼女の作業台の上に転がされているそれは、気持ち悪いほどそっくりだ。

完全にマニュアル化された「おはようございます」「いらっしゃいませ」「温めますか?」等々の台詞を順番に録音していく。

本当にコンビニとは、便利な存在だ。