竹内の後を、いづみが続ける。

「鉄道関係は楽勝だって言ったでしょ。そういうのまで次に回すなってことよ。路線図から列車の移動先は限られる。鉄道会社の管理システムに侵入すれば、監視カメラでホームの様子は簡単に確認できるわ」

「で、異常のある駅を見つけ出せる」

竹内の指がキーボードを叩く。

該当車両の進入予定駅と、そのホーム画面がマルチスクリーンに映し出された。

「うちの監視カメラは優秀だからな。そこで各駅舎に設置された装備でわんこチェック。基本のき!」

「で、異常ガスを事前に探知。現場に急行ってワケよ」

車で列車に追いついたのは、駅で停止した電車の、扉の開閉速度を調整したせい。

「あとは説明しなくても分かるわね」

いづみは一息ついた。

「バイオコントロールシステムが、あれほど進んでいるとはね」

「所詮時間の問題だったろ。技術は常に更新している。俺たちが持っているということは、相手も同等のレベルにあると思って間違いはない」

竹内はずっと構内を撮影していた。

その動画をディスプレイにあげる。

ドロリとした液体生物の姿が、大きく映し出された。

「どこかに、チップがあったのかもな」

「液体成分の回収は?」

「本部がやってるだろ」

飯塚さんは指を組む。

「強アルカリ性質だった。チップはどうせ失敗と同時に融解されているだろう」

生物兵器の話は、よく分からない。