そう言って私を心配させないようにしてくれてるのが分かった。
いいの……?課長……本当にそれで満足しているの?
「か、課長。海外に行って下さい!!」
「えっ?松井……?」
「せっかくのチャンスじゃないですか!?
部長になれるチャンスを自分から潰さないで下さい」
ううん。満足してる訳がない。
だって、せっかくのチャンスじゃない!?
出世したいと思うのが普通じゃない。
「だが……そうなると離れ離れになるんだぞ?
お前は、それでいいのか?」
「私は……大丈夫です。
遠くに行ったからって気持ちが離れる訳じゃないもの」
ニコッと微笑んてみせた。
……嘘ばかり。本当は、不安で仕方がないのに。
「……しかしだな……」
「課長だってそのために今まで頑張って来たはずです。
ダメですよ……自分から棒に振ったら」
私は、一体。何を言っているのだろうか?
いくら……出世してほしいからって
離れ離れになるかも知れないのに。なのに。
「……あ、いけない。 母が今日ウチに来るんでした。
ごめんなさい…もう帰りますね。
お金は、ここに置いておきます。失礼します!」
食事もそこそこに私は、帰るために身支度を始めた。
頭を下げると逃げるようにお店か出て行った。
「おい、松井!?」
課長は、呼んでいたが私は、振り向くことが出来なかった。
静かになると課長は、大きなため息を吐いた。