「あぁ、前に企画書を見た取引社が気に入ってな。
 今度計画されている遊園地の広告を
ぜひ松井にやってもらいたいと申し込んできた」

 なんと大型の遊園地の広告を私が担当としてやらせてもらえることになった。
 小さな広告をいくつか担当させてもらったが
こんな大きいのは、初めてのことだ!

 いつか大きな広告を……そう思って今まで必死にやってきたので大抜擢だった。
嬉しい……。

「は、はい。頑張ります!!」

こんなチャンスは、二度と来ないかもしれない。
 そのためにもぜひ成功させて次のステップアップにしたいと思った。
 私は、意気込み仕事にも力を入れた。
全て順調そのはずだった。あの噂を聞くまでは……。

「亜季~大変、大変!!」

「どうしたの?美奈子。そんなに慌てて?」

 頼まれた資料を届けに行ったはずの美奈子が慌てて戻ってきた。
そして強引に廊下に連れて行かれてしまう。

給湯室に連れて行かれると私と向かい合わせにさせられる。
「いい?落ち着いて聞いてね?
課長……海外の会社に飛ばされるらしいわよ!?」
 興奮気味にそう言ってきた。

「えぇっ!?」

 私は、驚きを隠せなかった。だって、何で課長が海外の会社に飛ばされるのよ!?
 ハッとする。もしかして、私との社内恋愛が知られたから?
いや、でも禁止ではない……。

「それって……私が原因なの?」

「分からないわ。私も男性社員が噂をしている所を
たまたま聞いただけだから」

 頭の中が真っ白になった。もしその噂が本当なら
課長は、上司ではなくなってしまう。
 我が社にも居なくなってしまう。そんなの……嫌っ!!

 原因は、やっぱり私なのかしら?
課長は、実績も高いし他の上司からの信頼もある。
 大きなミスや小さなミスもしない。
几帳面な性格の課長が失態をするとなると私との交際宣言しか思いつかない。