私は、小さく頷いた。
だけど、課長には、やっぱり言えなかった。
 社内でイジメられているなんて恥ずかしくて言えない。
自分でも惨めだと思うのに……。

 八神さんに言うのも気が引けるし
色々頭の中で考えると気分が沈んでしまった。
 翌朝は、会社に行くのも憂鬱になる。

「今日……日曜だったら良かったのに」

 渋々会社に行くとやはり周りの女性社員の冷たい目線が痛かった。
ただの噂なのに……。
 落ち込みながら部署に行くとその現状に絶句する。
私のデスクが荒らされていたからだ。

嘘……何で!?
 慌て駆け寄り荷物や何か紛失していないかチェックした。
 貴重品などは、持って帰るため問題ないが
やりかけの企画書に使うファイルなどが失くなっていた。
 どうしよう。これだと仕事が出来ないわ。

困っている私を見ながらクスクスと笑っている女性社員が居た。
 多分この人達だろう……。

「フフッいい気味よね~」

「自業自得じゃないの?あれ。
誰がやったか知らないけど、清々しいわね」

 そう言いながら笑っていた。これは、さすがに酷過ぎる。
涙が溢れ泣き崩れてしまった。
 それを見ながらクスクスとさらに笑っていた。 

「いやだ…泣いているわよ?子供じゃあるまいし…」

 他の女子社員や男性社員人達は、関わらないようにしていた。
 しばらく泣き続けていると出勤したばかりの美奈子が
慌てて私に声をかけてきた。

「ちょっと亜季。大丈夫…!?な、何よ……これ?」

「……美奈子……」

「ちょっと誰よ!?小学生みたいな頭をしているの!!
やり方が幼稚だし恥ずかしくないの?」

私の代わりに怒鳴ってくれた。
確かに嫌がらせの発想は、小学生や中学生がやるようなイジメと一緒だ。