勝手な事を言いたい放題。
 残業が多いのは、仕事量を増やされたからで
交際経験なんて…課長を入れても2人ぐらい。
 全てデタラメの噂ばかりだ!
なのに噂だけ独り歩きを始めてしまった。

「何よ!?あれ……根も葉もない噂を信じて
あんなの社内イジメじゃない!!」

 お昼休み。美奈子と近くのお店でランチをしながら 
文句を言っていた。 社内イジメか……。
 まさか、この年でイジメに遭うなんて思っても見なかった。
学生の頃だって真面目にやってきたし経験してこなかったのに……。

「……美奈子。ごめんね?私のせいで嫌な思いをさせて」

「何を言っているのよ!?
 友人が困った時に助けるのが友達でしょ。
それよりもこの事は課長には、伝えたの?」

 言葉に詰まる。 伝えていない……さすがに言いにくい。
 自分が所属している部署にイジメがあるなんて
きっと不愉快な思いをさせるだろう。
 それが私だなんて……むしろ噂が課長の耳に入っていないかが心配なのに。

「亜季。言った方がいいわよ?
課長なら嫌がらせを止められるかも知れないし」

「……うん」

「あと、その噂広げたのって同じ部の澤村さんじゃないの?」

 実は、私も同じ事を思っていた。
あの時も噂をさらに広げるように発言をしてきた
 澤村さん。すぐに彼女が犯人だと直感した。
だが、決定的な証拠がある訳でもない。
 下手に言えば、私がさらに悪者にされるだろうし…。

「……多分そうかも」

「何で、そんな噂をするのか知ってるの?
あれは、八神さん関係よ!
 ほら、なんかあの子。八神さん狙っていたみたいだから
あんたと付き合っていると勘違いして嫉妬してるのよ……きっと。
 まったく、嫉妬でこんな噂を広めるなんて
小学生じゃあるまいし。大人気ないわよねぇ~」

 美奈子は、呆れながら言ってきた。
原因がそれなら確かに大人気ない。
 だが、澤村さんが八神さんを……?有りえるか……。

 八神さん人気の高いイケメンだし。
好意を持つ女性社員は、たくさん居るだろう。
 そんな中……私みたいな地味なのが恋の噂になっていたら
面白くないと思う人も多いだろう。

「とりあえず課長に言った方がいいわ。
それと八神さんにも迷惑だと伝えたら?」