「うん。私も驚いちゃって……まさか。
 松井先輩がそういう事するなんて思って無かったし
だから、もう一度確認したくて……」

ちょっと何を言ってるの!?
 昨日確かに八神さんとは、会ったけど
交際を断るためだし複数の男性に会ってもいないのに。
 彼女の発言は、デタラメだらけだ。

「あの……確かに八神さんとは、話をつけるために
会ったけど複数の男性なんて会っていないわ。
何股なんて誤解よ!」

「じゃあ、私が嘘を言ってるって言うんですか!?
事実八神さんとは、会ってますよね?」

 怒ったように発言をする澤村さんだった。
どう言ったら分かってもらえるか困惑する。
 何を言っても言い訳に聞こえてしまっていた。
そうすると周りの女性社員の目は、私に向けられた。
 冷ややかで怪訝そうな表情で……。

「梨香……もういいから。こんな人と関わらない方がいいわよ?」

「そうそう。一緒に居たらこっちまで変な目で見られるから」

 澤村さんの友人達は、そう言いながらこちらを睨みつけて庇っていた。
何よ……これ?

 自分の置かれている状況が分からず困惑していると
周りは、私を避けるように離れて行った。
 コソコソと陰口を言われているのがすぐに分かった。

「………」

私は、ボー然としたままただ立ち尽くしていた。
 しばらくして部署に行くとすでに噂が回っているのだろう。
 挨拶をしても白い目で見られた。男性社員もこちらを
チラチラと見て噂をしていた。

「亜季。おはよう!」

ただ美奈子だけいつものように挨拶をしてくれた。

「……美奈子……」