無理を言われても私は、この人と付き合う気なんてないのに。
 だけど、自信満々の彼には、届かなかった。
八神さんは、私に手を添えくる。
 しかし。その2人の姿を面白くなさそうに見ている人物が居た事を知らなかった。

 それは、翌朝のことだった。
私は、会社の更衣室に行くと周りの視線が気になった。
 この間の事が噂になっているのかしら?
八神さんと付き合っていることになっているみたいだし。
 誤解だと言わないとダメかしら?
そうしたら澤村さんが私に声をかけてきた。

「松井先輩。あの噂って本当なんですか?」

「澤村さん。噂って……それは、違うの」

「八神さんと多数の男性と何股もかけてるって本当なんですか!?」

えっ?何股……私が!?
彼女の発言は、驚くものだった。何故何股の話になるのだろうか?

「社内の噂になってますよ?
 別の何人もの彼氏が居るのに八神さんとも関係を持っているって」

えぇっ?そんなに噂になってるの?
 確かに課長と付き合う事になったが
八神さんとは、何もないし噂になるような特別な関係でもない。
そもそも何股って何!?

「あ、他にも過去に不良と付き合っていた事もあるとか……色々言われてますよ?
どれが真実なんですか?」

 澤村さんは、不思議そうに尋ねてきた。
いや、どれも根も葉もない噂で1つも真実味がない。
 何でこんな噂が広まってしまったの?

「澤村さんその噂は、違うの。この事は……」

「でも、私見ちゃったんですよね。
八神さんや複数の人と会ってるとこ……」

 被せるようにとんでもない発言をしてきた。
なっ!?何を言い出すの?

「澤村さん……その話って本当なの!?」