お互い恥ずかしくて目が合わせられない。
 私は、返事をするとそのままリビングから出て脱衣場まで向かった。
 ドアを閉めると踞った。き、緊張した……。

 心臓が張り裂けそうになるぐらいにバクバクと鳴っていた。
シャワーを浴びなくちゃあ……。

 そう思うのだが緊張し過ぎてなかなか動けないでいた。
重い腰を上げて何とか服を脱いだ。
 もっと可愛い下着をつけてこれば良かった……。
そう思いながら何とかシャワーを浴びた。

だが、よく考えたらまた同じ服に着替えるべきなのかしら?
 ここは、バスタオルだけの方がいいの?
いやいや……それだとやる気満々みたいだし。
 うーん。どっちが正解なのだろう……?
課長どっちの方が嬉しいのかしら?

 シャワーを浴び終わると、どちらにするか
悩んでなかなか出れないでいた。
 するとドア越しから課長の声が聞こえてきた。

「松井。大丈夫か? やっぱり気分が悪いんじゃあ」

「あ、いえ……大丈夫です!!すぐに出ますから」

 あわあわと着替えようとする。すると課長が
「あのさ…松井。やっぱりお前は、帰れ。
今は、勢いで来たのだろうけど、無理をするものじゃない。
それに気持ちは、嬉しいがゴムも無いし。
 その……やめておいた方がいいと思うんだ」と
私に言ってきた。

えっ……?
私は、バスタオルだけの格好も構わずにドアを開けた。
 何よ……それ。それじゃあ課長は、私と関係を持ちたくないみたいに聞こえるじゃない!?

「課長は、嫌なんですか!?
私は……勇気を出して言ったのに」

「松井。いや……そういう意味じゃあ!?
とにかく服を着ろ」

「だったら……ちゃんと私を見て下さい」

 慌てて目線を逸らしてきた課長に私は、そう言った。
私だって恥ずかしいのに。凄く……。
 でも、課長に想いを伝えるには、これしかなくて。

「松井。そうやって無理をさせたい訳じゃない」

「……無理なんかしてません。課長の……馬鹿……」