「あの人が例の課長?見た目怖そうな感じの人なんだね」

 その言葉にムッとした。確かに見た目は、
怖そうだけど本当は、優しい人なのに。
 見た目で判断しないでほしい。

「聞いた話だと部署で鬼課長とか言われているらしいね?
 だとしたら…やっぱり俺、悪いけど負ける気しない。
 今は、その課長の事が好きかも知れないけど
絶対に振り向かせるから」

 そう言うと私を抱き締めてきた。ちょっと!?
急に抱き締められ頭の中が混乱する。
 な、何でそこで抱き締めてくるの?

「好きだよ……亜季」

 そう言って耳元で囁かれた。ドキドキと心臓が高鳴りだす。
こんな風にドキドキするのは、課長以来だ!

「あの…離して下さい!?
ココは、社内ですよ……」

「……松井……」

 必死に離れようとしたら課長の声がした。
私は、ハッとして慌てて彼から離れて振り向いた。
 そこには……課長の姿があった。ど、どうしよう。
抱き締められた所を見られてしまった。

「課長。違うんです。これは……」

 私は、必死に誤解を解こうとするが
「松井。社内恋愛は、いいがもう少し場をわきまえろ」
そう忠告をしてきた。

「……えっ?」

 ぽかんとする私に気にする様子もなくそのまま立ち去って行く。
課長……?何で、そんな事を言うのですか……?

「課長。待って下さい!!」

 慌てて追いかけようとするが八神さんに止められてしまう。
ちょっと離して!!