結局。味が分からないまま食べ終わってしまった。
お金は、私が出すと言っていたが割り勘という事になった。

「あ、あの…それじゃあ……おやすみなさい」

私は、頭を下げ慌てて帰ろうとした。
 こんな所、他の女性社員や課長には、見られたくないし
 すると八神さんに腕を引っ張られそのまま抱き締められてしまう。えっ!?

 私は、唖然とする。 八神さんに抱き締められてしまった!?
必死に逃れようとジタバタする。
 だが、力強く抱き締められているため逃げられない。
ちょっと……こんな所を誰かに見られたら!?

「離して下さ…っ!!」

 そう言う前にキスをされてしまった。えっ……!?
何が起きているのか唖然としたまま動けなかった。
 八神さんは、唇をゆっくり離すとニコッと微笑んできた。

「また、会社でね。おやすみ」

 そう言うとそのまま立ち去って行った。
私は、硬直したまましばらく立ち尽くしていた。
 私……八神さんとキスをしちゃったの?
 どうしよう……キスをしちゃうなんて。 課長にどう説明をしたらいいの!?
頭の中が大パニックになってしまう。

ダメ……課長には、秘密にしなくちゃあ!!
 食事に行った事もキスした事もじゃないと嫌われちゃう。
 だが翌日。会社に行くと女子社員から質問の嵐に合う。

「ねぇ、松井さん。 昨日八神さんに手を引かれて
一緒に帰ったって本当なの!?」

「もしかして知り合い!?
羨ましい……いつの間に付き合ってるの?」

 などなど。まさか…こんなに騒ぎになるなんて
思ってもみなかったため戸惑ってしまう。

「えっと…あれは、八神さんが強引に…」

「えぇっ?まさか、強引に攻められた!?」

「いや…何と言うか……」