結局。強引に食事に連れて行かれる事になってしまった。
しかも選んだお店は……以前でだ。
 課長と行こうとして行けなかったイタリアンのお店だった。
よりにもよって……何故このお店なのだろうか。

「なんか女性社員に人気らしいね?俺初めてなんだけどさ」

「はぁ……」

 仕方がなく私も中に入る事にした。
本当なら改めて課長と行きたかったけど……。
 ため息を吐きながら席に着くとメニューを選ぶことにした。

「松井さんってお酒飲める?」

「いえ…あまり得意じゃないです」

 以前の失敗を繰り返さないようにしたいし……。
どうもお酒を飲むと気持ちが大胆になってしまう。
 もし八神さんにもやったら大変だし。

「そうなんだ?俺は、ワインでも飲もうかなぁ~」

 そう言いながらワインを注文する八神さんだった。
彼は、随分と陽気な性格をしている。
 チャラいと言うか……気さくと言うのだろうか。

「そういえば、あれからどうなったの?
上司と上手くやれてる?」

 うっ……と喉が詰まった。
どうも彼は、それが気になって仕方がないようだ。
 気にしなくてもいいのに。

「も、もちろんです。あれからちゃんと謝りましたし
課長も分かってくれる方なので。それに……後で
言い過ぎたと言って謝って下さいました」

「ふ~ん。それなら良かった」

 八神さんは、ニコッと微笑んできた。
どうしてそこまで私のことを気にするのだろう?
 別に面白い内容でもないだろうに。

「あの…何でそんなに気にするんですか?私のこと……」