うっ……当たっている。
鋭い勘にズキッと胸が痛んだ。
 そして、恥ずかしくなって黙り込んでしまった。

「もしかして、図星だった?」

「半分当たりです。まだ仕事のミスならいいのですが。
 上司のデスクにお茶を溢してしまって……」

 ただのマヌケや馬鹿としか言いようがない。
しょうもないミスだ。
 しかもそれで課長に叱られて泣いているし

「へぇ~それは、また可愛らしいミスだね」

 可愛らしいミス……?これが?
男性社員の言葉に驚いて見てしまう。
 するとニコッと微笑んできた。

「それにしても、それぐらいの事で
叱るなんて…その上司。器が小さいなぁ~」

 彼は、そう言ってきた。
なっ!?違う……課長は、器が小さくないわ。
 同情してくれたのだろうけど、課長の事を悪く言われたようで嫌だった。

「課長は、器が小さくありません!!
 これは、私のミスなんですから叱られて同然です!」

「そうか…ごめん。俺が言い過ぎたよ!」

「あ、いえ…こちらこそ、すみませんでした。
あの…それじゃあ……」

 頭を下げると私は、慌てて逃げるように給湯室から出た。
 さすがに恥ずかし過ぎる。涙まで見られた上に
課長のことを言われたからって怒るなんて……。
 あぁ、みっともないわ。

きっと変な人だと思われたに違いない。
 慌てて自分の部署に戻ろうとしたら美奈子と鉢合わせになった。

「あ、亜季。隙を見てトイレに行くフリをして
出て来たんだけど大丈夫?」