課長にも怒鳴られて、呆れかえられても
文句なんて言えない。自業自得だし……。
給湯室に入ると涙が溢れてきた。
いけない、泣いたら……。
ハンカチで涙を拭きながら1人で泣いていた。
そうしたら誰かが入ってくる気配がした。
「どうしたんだい?泣いたりして?」
「えっ……?」
誰かに声をかけられ振り向くと見知らぬ男性社員だった。
背が高く整った顔立ちをしたイケメン。
でも、見覚えがない。
こんなにイケメンなら女性社員が騒いでいるだろうから
記憶に残ると思うのだがやっぱり見覚えがなかった。
「あなたは……?」
「えっ?あぁ、そうか。まだ社員証を付けていないから」
そうするとその男性は、カバンから
名刺を取り出して差し出してきた。
すると男性は、ニコッと微笑んできた。
「異動してきたばかりだからこっちで働くのは、
明日からなんだ!
今日は、ただの挨拶まわりに」と自己紹介をしてくれた。
名刺を見ると『八神 冬哉』と書いてあった。
名前すらイケメン。
上の方を見ると我が社がアメリカの方で経営している会社からだった。
「それは、失礼致しました。
私は、企画営業部の松井です!」
「企画営業部の松井さんか…よろしく。
それよりさっき泣いていたけどどうしたんだい?」
「えっと……それは……」
どう答えたらいいか戸惑った。
見ず知らずの男性に涙を見られるなんて恥ずかしいことだし。
「もしかして。仕事でミスして叱られちゃった?」