「私、頑張ってみる。上手くやれるか分からないけど」
「うん。頑張れ!亜季」
美奈子は、応援してくれた。
どうやって積極的にやったらいいか分からないけど
何かをしないと始まらないのは事実だ。
なら少しは、気持ちを伝えたい。
私は、お茶を持って課長の所に向かった。
まずは、いつもの通りに。
そう思うのだが、心臓がドキドキ鳴って余計に緊張してしまった。
「あの……おはようございます。課長」
「あぁ、おはよう。あ、そうだ。
松井。先日渡した資料に変更があった。
これが正しい資料だ!」
「えっ?本当ですか」
私は、思わずその資料に手を伸ばした。だがしかし
自分が湯飲みを置いたお盆を持っていることを忘れていたためひっくり返してしまった。
あぁっ!?お茶が……!!
デスクは、お茶でベトベトになる。
もちろん書類も濡れてしまった。私は、一瞬血の気が引いた。
「松井。お前何をやってんだ!?
大事な書類まで!!」
課長に怒鳴りつけられてしまう。
ビクッと身体が震え上がってしまった。
ど、どうしよう……一体自分は、何てことをしてしまったのだろうか。
「あの……申し訳ありませんでした!!
すぐに拭きます」
必死に頭を下げて湯のみを片付けて
布巾を取りに行こうとした。
すると課長は、大きなため息を吐いた。
「ハァッ…もういい。お前は、自分の仕事をしろ。
後は、自分でやるから」
「申し訳……ありませんでした」
頭を下げもう一度給湯室に向かった。
美奈子に名前を呼ばれたが今の私の耳には、
入らなかった。情けない。
つい調子に乗った罰に違いないわ。
デートしてキスしたからって浮かれたあげく
こんなミスをするなんて……。