美奈子がニコニコしながら急かしてきた。
これは、事情を聞く気だろう。
 結局。美奈子と2人でお茶を淹れる事にする。
そして思った通り理由を聞いてくるので事情を話した。
 言うたびに恥ずかしくなっていく。

「えぇっ!!嘘~課長とキスしちゃったの!?」

「ちょっ…美奈子。声大きいから……シッ!!」

「ごめん、ごめん。というかマジで?
へぇ~もうそんな関係になったのねぇ~」

「いや……私が酔って強引に引っ張ったからで
成り行きと言うか……」

モジモジしながら言った。
 美奈子は、大声で言うから恥ずかしいし
そんなロマンティックな感じではない。
 むしろ恥ずかしい失態だった。

「例え成り行きでもキスをしたんなら
お互い両思いみたいなもんじゃない。
 向こうは、亜季のこと好きなんだしさ」

 確かに…お見合いをして気持ちを伝えられたけど
まだ気持ちを通わせた訳じゃない。
 あの時だけだし……。
お茶を注ぎ終わると片付けながらある疑問が生まれた。

「課長…どうして私のこと
好きになってくれたのかしら?」

「う~ん。課長の場合は、一目惚れなんでしょ?
ただ単にタイプだったんじゃない?顔が」

 顔が……?顔と言っても決して私は、美人じゃない。
むしろ普通だし、これといって取り柄もない。
 なのに何故私が好みなのだろうか?
頭が余計に混乱してきた。

「人の好みは、人それぞれよ!
 とにかく課長にとって亜季は、特別な存在なんだから
自信持って自分からアピールしたら?
 あぁ言う草食っぽいのは、積極的に押した方が
いいと思うけど……?見た目は、怖いけどさ」

積極的に……。
 確かにもっと課長と親しくなるためには、
今以上に頑張らないとならない。
 もっと課長と何処かに行ったり一緒に居たい。