突然向こうのお母様が話をふってきた。
えっ?私!?
 いきなり話をふられるから驚いてしまう。

「あ、はい。えっと…。
ガーデニングと映画鑑賞です」

「まぁ、素敵な趣味だわ。
ガーデニングってどんなのを?」

「花とか育てるのが好きなんです。
今、アパートに住んでるのでベランダに少しだけ」

「この子ったら昔から土いじりが
好きな子だったんですよ~本当
地味でお恥ずかしいわ…オホホッ」

 母は、横から口を出して笑ってきた。
娘の趣味を地味とは、何よ?失礼しちゃうわね。

「智和さんのご趣味は、何ですの?」

 母が課長に尋ねた。
課長の趣味…あんまり想像が出来ないわね。
 何かしら?ってか趣味とかあるのかしら?

「読書と…トレーニングです」

「まぁ、鍛えてらっしゃるの?」

「はい。まだまだ…大した事じゃありませんが…」

 読書は、確かに似合いそうだけどトレーニングとは意外だ。
 脱いだらムキムキなのかしら?
思わずムキムキな課長を想像してしまった。
 それは、それで怖さが倍増だけど……。

 その後も母同士が色々を質問してくるけど
課長は、一言、二言話す程度だった。
 私は、怖くて顔も見れないまま黙って聞いていた。
 あまり会話も進まず何故だか
2人で料亭の庭を歩く事になってしまった。
 気まずい…凄く。早く終わらせて帰りたい。

「あの…課長。すみません…。
こんな事になってしまって」